健康経営の推進
INPEXグループ健康宣言
「社員一人ひとりの心身の健康が会社の基盤である」という考え方の下、会社が健康管理を経営課題として捉え、従業員及びその家族の健康保持・増進に取り組んでいくことを明確にするため、社長を最高健康責任者(Chief Health Officer)として2018年9月に「INPEXグループ健康宣言」を制定しました。
宣言では、従業員とその家族の心身の健康保持・増進と従業員一人一人が十分に能力を発揮できる働きやすい職場環境を形成し、活力に満ちた企業風土の醸成を図るように取り組むとともに、自分の健康は自分で守る意識を持って生活習慣の改善など、自らの心身の健康づくりに主体的に努めることにしています。
健康経営の運営体制
最高健康責任者である社長の率先模範の下、会社・労働組合・健康保険組合・産業医が一体となって健康保持・増進や職場づくりに取り組んでいくため「健康経営推進委員会」を設置して推進体制を構築しています。委員会は定期的に開催しており、従業員の健康課題の把握と必要な対策の検討を始め、PDCAサイクルを繰り返すことによって継続的に改善するよう取り組むこととし、本社産業医も委員会メンバーとなり、委員の専門性向上も図っています。
健康保持・増進の取組み施策
当社は健康管理を経営課題として捉え、「INPEXグループ健康宣言」においては、従業員とその家族の心身の健康保持・増進と従業員一人一人が十分に能力を発揮できる働きやすい職場環境を形成し、活力に満ちた企業風土の醸成を図るように取り組むこととしています。従業員の健康診断結果をデータベース化し一元管理を行うとともに、本社並びに一定規模以上の事業所には保健師が常駐し、保健指導やメンタル不調対応など事業所内産業保健スタッフが連携の上、体系的に心身の健康管理の取組みを実施しています。
これまでも健康診断受診率100%を始め、メンタルヘルス・過重労働対策、分煙対策、健康アプリ導入、健康促進イベントなど、従業員の健康保持・増進に向けたさまざまな施策を実施していますが、その取組みを更に強化するため、健康診断受診率やストレスチェック受診率、時間外労働平均、有給休暇取得率、特定健康診査受診率や特定保健指導実施率などの具体的な目標を設定し取り組んでいます。なお、海外勤務者へは、各種感染症予防接種や年1回の日本での健康診断を実施し、さらには赴任先における医療情報を提供し、傷病時の国外搬送を含む緊急搬送体制を整備しています。
上述のような取組みを通じ、高ストレス者や体調不良者の出現率が低下するなど、活力に満ちた企業風土の醸成に取り組んでいます。
メンタルヘルスの取組み
一人一人の心身状態の把握や所属する組織状態を分析し、改善することでより働きやすい職場づくりを目指すべく、従業員に対し年に1回のストレスチェックを実施しています。2021年度の実施率は約91%と高い水準を維持しており、これにより従業員のメンタルヘルスを定期的に確認しています。
また、メンタルヘルス疾患者に対しては、主治医、産業医、保健師、人事、所属部門上司が連携し、休業中の従業員・復帰後の従業員に対する各種フォローを実施しています。
さらに、長引くコロナ禍で従業員が孤立することを避けるため、2021年度入社の新入社員に対しては面談や週に1回のパルスサーベイを実施したほか、海外の駐在員と帯同家族などへの心理カウンセラーによる相談サポートも追加的に導入しました。加えて、研修制度の一貫である、先輩社員が業務上の指導や精神的サポートを行うメンター制度(入社1年目)及びサポーター制度(入社2,3年目)についても定着しています。
グローバルな健康問題に対する取組み
従業員の健康を支えるために、インフルエンザワクチン接種、集団健康診断、海外赴任前後の健康診断、人間ドックに対する補助のほか、マラリアやジカウイルスなどの感染症に関するリスクの共有や注意喚起を始めとする海外の医療リスクの周知を行うなど、従業員の健康維持・向上に努めています。
また、2021年には国内の複数拠点において従業員とその家族も対象に新型コロナワクチンの職域接種を実施しています。
当社の健康経営のための取組み実績
【2021年度実績】
<ワーク・ライフ・バランスに関する取組み>
- 一か月当たりの平均所定時間外労働:22.6時間(2020年度実績:21.3時間、2019年度実績:18.2時間)
- 有給休暇平均消化率:69.8%(2020年度実績65.0%、2019年度実績:83.3%)
- ワーク・ライフ・バランス実現のための各種社内制度の利用者数(例)2021年度の保育所、託児所、ベビーシッター補助制度利用者数:78名(2020年度実績:79名、2019年度実績:83名)
【2020年度実績】
<従業員の健康に関する取組み>
- 定期健康診断の受診率:100%(2018年度実績:100%、2019年度実績:100%)
- 定期健康診断後の精密検査受診率:66.9%(2018年度実績:76.9%、2019年度実績:75.9%)
- 特定健康診査の実施率(全体):75.4%、特定保健指導の実施率(全体):24.6%
- ストレスチェック組織診断の受診率:94.4%(2018年度実績:90.5%、2019年度実績:88.2%)
- 2020年6月の健康経営推進委員会にて2020年度の取組みを決定、同年12月の同委員会にて中間レビューを実施
※2021年5月の同委員会にて2020年度の結果報告及び2021年度の取組み方針を策定
- 従業員個人による食事・運動・睡眠状況の改善、会社による健康管理課題などの把握のため、健康推進アプリの導入を拡大
- 2020年5月実施の新任幹部社員研修において、管理職への健康教育(INPEXグループ健康宣言、健康経営の必要性など)を実施
なお、2019~2021年度の従業員、ワーク・ライフ・バランスに関連するデータについては、当社サステナビリティレポート2022のESGデータ集をご参照ください。
<従業員の健康診断結果(一部)>
- 適正体重維持者率:69.4%
- 喫煙率:15.1%
- 運動習慣者比率:28.7%
- 飲酒習慣率:18.9%
- 血圧リスク者率:0.4%
- 血糖リスクと考えられる人の割合:0.2%
- 糖尿病管理不良者率:0.4%
- 「睡眠により十分な休養がとれている人」の割合:81.7%
<健康関連のその他指標>
- ストレスチェックにおける高ストレス者率:3.5%
- プレゼンティーイズム※1:62.9点
- アブセンティーイズム※2:0.8日
- ワークエンゲージメントの状況※3:偏差値50
※1 出勤はしているものの、健康上の問題によって完全な業務パフォーマンスが出せない状況。WHO-HPQの絶対的プレゼンティーイズム(0~100点)を用いた従業員調査を実施
※2 傷病による欠勤。傷病休職制度の2020年度の利用日数の全従業員平均
※3 ユトレヒト・ワーク・エンゲージメント尺度と相関の高い8項目を用いた独自の調査票で測定。偏差値の全従業員平均
【健康保持・増進の取組み一覧】
<健康対策全般>
- 健康経営推進委員会の実施
- 社内診療所の設置(産業医・保健師・看護師)
- 健康相談窓口の設置
- 生活習慣改善の支援
- 健康診断費用の補助
- 健康診断結果による産業医との面談
- 健康関連セミナーの開催
- 肩こり・腰痛予防のストレッチやヨガの実施
- ラジオ体操の実施(始業前)
- 厚生活動の実施
- 提携スポーツ施設の利用促進
- 社内でのインフルエンザワクチン接種・費用補助
- 予防接種を受けるための就業時間認定
- 海外赴任者への予防接種と産業医による教育
- アルコールに関する衛生講話の実施
- がん検診補助の新設
<禁煙対策>
- たばこの健康影響についての教育・研修の実施
- 禁煙デーや禁煙週間の設定
- 禁煙を推奨する社内アナウンスの実施
<新型コロナウイルス感染症対策>
- 感染拡大時の事業継続計画(BCP)の策定
- 新型コロナウイルス対策本部の設置
- 職域接種の実施(従業員の家族や同ビル内や取引先などの他社従業員と家族も対象)
- ワクチン接種日の特別休暇の付与
- ワクチン接種による副反応(高熱)が出た場合の特別休暇の付与
- 在宅勤務制度の積極活用(感染予防策として、各事業所における出社率を一定割合以下に制限)
- スーパーフレックス制度(コアタイムなし)の導入
- 新型コロナウイルス感染症対応の特別休暇の付与
- 社内でのアルコール消毒液の常設・利用徹底
- 健康状態の確認と報告(検温など)
- 発熱時や家族の感染、濃厚接触者となった場合などの出社ルールの整備
- 現場・職場から健康管理担当者への勤務状況などの情報収集ルートの整備
- 従業員の健康を優先する従業員の行動指針の周知
- 通常時と異なるシフト体制などを適用し、従業員間の接触機会を低減
- フレックスタイムによるオフピーク通勤の推奨
- 基礎疾患を持つなど、感染時に重症化するリスクの高い従業員への特別の配慮
- 席の間隔を空けるなどの社内空間の工夫
- 感染症予防策に関する情報提供
- 在宅勤務に係るアンケートの実施
「健康経営銘柄2022」並びに 「健康経営優良法人2022ホワイト500」に認定
当社は、経済産業省と東京証券取引所が共同で実施する「健康経営銘柄2022」に3年連続で認定されました。同時に、「健康経営優良法人(大規模法人部門)」(ホワイト500)に4年連続で認定されました。「健康経営銘柄」は、経済産業省と東京証券取引所が共同で、従業員の健康管理を経営的な視点で戦略的に実施する「健康経営5」を進めている上場企業のうち、取組みが特に優れている企業を認定する制度であり、「健康経営優良法人(大規模法人部門)」(ホワイト500)は、経済産業省と日本健康会議が共同で、優良な健康経営を実践している法人を認定する制度です。
当社では、従業員の健康課題の把握と必要な対策の実施、健康経営の実践に向けた基礎的な土台づくりと従業員の心と身体の健康づくりに向けた具体的施策に取り組んでおり、これらの活動が評価され認定に至りました。
5 健康経営は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です