最新版のサステナビリティレポートはこちらからご覧になれます

2023

Sustainability Report 2022

ダウンロードセンター

Sustainability Report 2022

地域社会への貢献

当社は、社会のニーズに応え、地域の社会経済発展を支援するために、社会貢献プログラムを実施しています。2022年度は約30億円の社会貢献投資を行いました。また、各地における地域社会との対話や貢献活動については、東京、パース、ジャカルタ、アブダビ、オスロの担当者間の定期的な会議を通じ情報共有を図っています。

オーストラリアでの社会貢献活動

オーストラリアでは、地域社会の活性化と経済的基盤整備に貢献しています。「地域社会への投資戦略」では、事業を展開する地域社会に良い影響をもたらすことを目的とした、当社の社会貢献の投資方針を定めています。本戦略では、以下の重点分野を定めています。

  • 教育・育成
  • 医療・ウェルビーイング
  • 能力開発
  • 地域の繋がりとレジリエンス増大

2022年度には、小規模な支援から上記の目的に沿ったNPOとのパートナーシップなどを含め、約40の地域社会支援プログラムを実施しました。

これまで、地域社会に対し長期的かつポジティブな影響を与えることを目指し、地域社会との関係性を築き上げてきました。それに加え、災害被害に対しては都度寄付を行っているほか、従業員によるボランティア活動、広告やPR、プレゼンテーションやメンタリングを通じた知識の提供など、寄付以外の形でも地域社会を支援しています。

ケーススタディ:コミュニティ投資に関する効果測定の改善

社会投資効果測定ワークショップの参加者

オーストラリアでは、2022年度にコミュニティ・パートナーシップに焦点を当て、コミュニティ投資の効果測定方法を改善しました。

コミュニティ投資は、社会的なビジョン、長期的な支援対象(主要な地域、集団、当社の事業やコミュニティ投資からより利益を享受すべき重要地域)、そして効果測定手法などを含む戦略をもとに実施されています。

コミュニティ投資のための戦略は、当社事業のフェーズ移行に合わせ、コミュニティにとってより価値のある取り組みを実施していくべく現在改訂中です。ここでは外部コンサルタントと主要な社内外のステークホルダーの支援を得ながら、主に、当社のコミュニティ投資のアプローチと効果測定の重要性について、主要な関係者の理解を深めていくという点を見直しました。

同様に、コミュニティのパートナーにも効果測定への理解を深めてもらい、プログラムの成果の効果的な測定方法について、フィードバックをもらいました。ここで得たフィードバックは、コミュニティ・パートナーによる効果測定に新しい手法とプロセスを検討する中で役立てています。今後も、効果測定の枠組み強化を目指すコミュニティ・パートナーに対し、支援を実施していきます。

インドネシアでの社会貢献活動

インドネシアのアバディLNGプロジェクトにおいては、環境や伝統文化の保全、経済的機会の創出など、地元コミュニティの持続的な発展に貢献すべく、2009年度からさまざまな活動を行ってきました。活動は、ステークホルダーとの対話を通じて地域コミュニティのニーズを把握し、中長期的な視点で戦略的に策定したSocial Investment Strategyに基づいて実施しています。

2020年度には、「Social Investment Strategy 2021-2023」を策定し、5分野(①地元の経済力強化、②教育、③公衆衛生、④環境、⑤戦略的社会貢献)に重点を置いて、さまざまな取組みを計画・実行しています。このうち、2022年度に実施した取組みは以下のとおりです。

奨学金及びメンタリングプログラム:

マルク州タニンバル諸島の大学講師の教育指導能力向上を目的として、大学院教育(修士課程及び博士課程)の奨学金を支給するなどの支援を実施。

清潔で健康的な行動プログラム:

プロジェクトサイトの最寄りコミュニティにおける清浄な飲料水の確保を支援するため、貯水槽と給水パイプラインの導入についてコミュニティ及び地元政府と協働して実施。

伝統織物生産訓練プログラム:

マルク州タニンバル諸島の伝統織物である「イカット(Ikat)」文化の保護や継承、普及促進、新規市場開拓などの支援を実施。

具体的には、以下の取組みを実施。

  • 20名のイカット生産者の技能向上とメンタリング
  • 中小ビジネスオーナーに関するメンタリング
  • 生産したイカット製品のギャラリー(2か所)を現地に建設

環境保全プログラム:

地元環境当局と協働し、市街地の主要道路沿いに現地固有種の樹木の植林を実施。また、現地の公園の整備や維持管理を実施。

INPEX 教育交流財団における奨学支援

本財団は、1981年に設立されて以来、インドネシアと日本の留学生の交流を通じて、両国の相互理解・友好・親善の発展に寄与することを目的として奨学支援事業を行ってまいりましたが、2022年度より新しくオーストラリア及びアラブ首長国連邦(UAE)を支援対象国に加えました。現在までに受入れた奨学生は、インドネシア人147名、日本人65名、オーストラリア人2名、UAE人1名を数え、奨学生の多くは、各人が留学時に取り組んだ研究分野で、それぞれの母国と日本との友好・親善に貢献しています。

2022年INPEX教育交流財団 年末交流会

アブダビでの社会貢献活動

当社のアブダビでの事業活動は、2015年の陸上油田権益取得、2017年の上部ザクム油田権益延長、2018年のサター油田・ウムアダルク油田権益延長及び下部ザクム油田権益取得により、新しいフェーズに入りました。また、2019年にはOnshore Block 4を落札し、探鉱活動に取り組んでいます。アブダビで事業を行う当社の子会社であるジャパン石油開発が2023年に創立50周年を迎えるにあたり、アブダビでの社会貢献活動の更なる強化に向けてINPEX JODCO財団を設立しました。今後のUAE /アブダビとの長期的な協力関係を更に深化させるため、当社は同国が重要課題としている青少年教育を中心とした社会貢献活動に取り組んでいます。

アブダビでの公文式学校展開

2018年からSTEM(Science, Technology, Engineering and Mathematics)教育の基礎となる算数計算能力を幼少期に身に付けることを目的として、公文教育研究会、アブダビ国営石油会社の御協力の下、アブダビの4つの小学校で公文式算数の導入を開始し、2019年からは日本以外で世界初のタブレットによる公文式学習の導入も開始しました。2020年以降はコロナ禍による在宅学習に対応すべく、教材をデジタル化し、タブレットなどを利用した新しい学習方式による公文式算数の展開を実現しました。現在は10校/約6,000名の生徒を対象に展開し、2021年からは当社からの資金提供も行い、今後も益々の生徒の学力向上に寄与します。

公文式算数学習に取り組む様子

柔道普及・選手育成

アブダビ現地での柔道の普及を目的として、日本から東海大学の柔道講師を招聘し、若手選手育成にも協力しています。また、毎年日本大使杯へ協賛しております

日本大使杯セレモニー

ADIHEX (Abu Dhabi International Hunting and Equestrian Exhibition)への出展

日本と UAE の文化交流の架け橋となることを目的に、2004年以来ADIHEXに出展し、日本に古くから伝わる鷹狩文化をはじめ、刀鍛冶、飴細工、茶道、マンガ・アニメ等の日本文化を紹介しています。2022年は日本とUAEの外交関係樹立50周年を記念したアート作品も展示しました。また、本年3月にアブダビ皇太子に就任されたハーリド・ビン・ムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン殿下をはじめ、当地の要人の方々にも当社ブースにご訪問頂きました。

ADIHEXでの集合写真
諏訪流放鷹術保存会
ムハンマド・アブダビ皇太子とADIHEXの当社ブースにて挨拶をかわす様子

ノルウェーでの社会貢献活動

ムンク美術館へのスポンサーシップ

当社の子会社である株式会社INPEXノルウェーは、現地法人INPEX Idemitsu Norge AS(IIN社)と ムンク美術館の間で、新たに 5年間のスポンサーシップ契約更改をいたしました。IIN社は、前身であるIdemitsu Petroleum Norge ASの時代から、同館設立の1991年以来、30年以上にわたって同館へのスポンサー活動を継続し、 累計1億ノルウェークローネ以上の寄付を行っております。IIN社からの寄付金は同館の拡張と修復や、2004年の盗難事件後の絵画「叫び」と「マドンナ」の修復など、いくつかの主要プロジェクトの実現に協力してきました。

同館の館長、トーン・ハンセン氏は「IIN社との長きにわたる関係は、非常に価値のあるものであり、良好な関係が保たれてきたことを誇りに思います。IIN社が私たちと関係を継続し、高いレベルの活動や、街の住民と訪問者の両方に利益をもたらすアートプログラムの維持に協力してくれることに大いに感謝しています。」と述べられています。

ムンク美術館館長のTone Hansen氏との署名式の様子
ムンク美術館

カザフスタンでの社会貢献活動

当社の子会社である株式会社INPEX北カスピ海石油が参画するカシャガンプロジェクトでは、オペレーターのNCOC(North Caspian Operating Company N.V.)による、住居、教育機関、医療機関等の建設や、都市整備などからなる地域社会のインフラ整備事業が1998年より継続して行われています。2021年末時点での、操業拠点のあるアティラウ、マンギスタウ両州における完成事業の数は220を超えています。加えて、ヘルスケア、教育、スポーツ、文化、慈善活動の5つを重点分野とした社会貢献活動プログラムを、両州で実施しています。

アクタウ市の学校児童センター

日本での社会貢献活動

本社では、従業員有志によるINPEX 社内募金を行っています。毎年従業員による投票で選ばれた、「環境」、「教育・次世代育成」、「地域社会支援」を活動テーマとしたNGO・NPO 団体に対して、給与天引き方式で行われています。2023年は、当社の社会貢献の重点分野の一つである「教育・次世代育成」の一環として、国立科学博物館ほかで実施される特別展「恐竜博2023」や、東京国際フォーラムを中心に開催された音楽イベント「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2023」に協賛しました。また、これまで数多くの有望な新人音楽家を世に送り続けてきた「第92回日本音楽コンクール」に対しても協賛しています。

特別展「恐竜博2023」の様子
「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2023」の様子

また、子会社のINPEXソリューションズを通して、中学・高校・高専・大学の学生向けに、経験豊富なベテラン社員による、エネルギー開発やエネルギー全般の情勢、気候変動に関する出張授業を2020年度から行っています。2022年度は群馬県沼田市立薄根中学校で「技術科」の一環で「エネルギーの選択」と題した授業を、また群馬高専・環境都市工学科や群馬県高崎市立南陽台小学校に対しても出張授業を実施しました。

秋田鉱場では、地域の関係団体と協業し、秋田市八橋地区の沿道(コスモスロード)での種まきを実施しています。長岡鉱場では、農業関係者や関係団体と協業し、越路原プラント周辺のごみ拾いや花壇の整備を実施しています。

直江津LNG 基地では、市内の環境保全団体が主催する海岸清掃活動への参加や、事業所の近隣道路におけるごみ拾いや草刈りなど、地域の一員として美化活動に取り組んでいます。また、石油・天然ガスの誕生から私たちの生活に届くまでを映像で見せる基地内見学施設『INPEX MUSEUM』と、LNG タンクなど設備見学を組み合わせて、広く行政や地元住民、企業などからの社会見学の期待に応えています(2022年はコロナ禍により見学受入休止)。

秋田での美化活動
新潟での花壇の整備