先住民との関わり
先住民社会との協調活動計画(RAP)
オーストラリアでは、当社の「先住民社会との協調活動計画(RAP: Reconciliation Action Plan)」に基づき、地域の先住民を尊重し、互いに有益で持続性のある信頼関係を築くための活動を心掛けています。
当社2回目のStretch RAPとなる「INPEX Stretch RAP 2019-2022」5では、事業活動地域における先住民との関係構築を促進するための具体的な取組案を策定しています。
RAPの実行については、当社の上級管理職で構成されるRAP Steering Committeeが定期的にモニタリングをしており、その成果を毎年公表しています6。加えて、2023年以降のRAP作成に向け、取組案について社内関係者との協議を開始しました。
5 INPEX Stretch Reconciliation Action Plan (RAP) 2019-2022
6 Reconciliation Action Plan Report 2021
雇用及び調達機会の創出
当社は、事業活動を通じ、先住民や地元住民が長期にわたり持続可能な形で経済活動に参加できるよう促す取組みを行っています。先住民の参加を妨げることのないよう、人事や調達契約プロセスの見直しを定期的に行い、先住民の雇用及び調達契約の機会提供を事業の一環として取り入れています。
オーストラリアにおいては、先住民のための当社独自の「Solid Pathwaysプログラム」を通じ、石油ガス産業におけるキャリア育成を促すための研修、雇用機会を提供しています。プログラム参加者は、当社における長期直接雇用に向け、12~18か月の実地訓練及び外部研修を受けます。2021年には、13名の先住民がこのプログラムを通じ当社に採用されました。
これらの取組みは、2022年までに、36名もしくは全従業員のうち3%の先住民雇用を目指すという当社のコミットメントを支えるものです。2021年末時点で36名の先住民従業員を雇用しており、この目標を達成しています。加えて、イクシスLNGプロジェクトの操業に関わるコントラクターを通じ、2021年末時点で約100名の先住民を雇用しており、これは2019年から2021年の年平均60名の間接雇用の目標を大きく上回るものです。
また、2019年から2021年の間に、12社の先住民企業から100万豪ドル以上の調達を行うことを目標として掲げ、先住民企業の参加機会を増やす努力をしており、実際には、17社の先住民企業から総額1,000万豪ドルを超える調達を行っています。
文化遺産の保護
オーストラリアでは、当社が事業活動を行う地域において、文化遺産を適切に保護するための文化遺産管理計画を策定し、実行しています。
ララキア族の土地や海の文化遺産については、さまざまな専門を持つララキア族のグループからなるINPEXララキア・アドバイザリー・コミッティと相談を行い、助言を得ています。
2021年のNAIDOC Week7では、「Heal Country」のテーマに合わせて、イクシスの陸上施設の境界にある文化遺産を保護するヘリテージヒルについての記事を社内のイントラネットに掲示しました。この場所は、ダーウィン地域の先住民であるララキア族の人々にとって文化的に重要な意味を持つものであり、社内での理解を深めることは重要であると考えます。
当社は、先住民の文化遺産保護に長い間取り組んできており、北部準州において、施設建設前の初期段階でララキアの文化遺産保護監査員を導入した最初の企業でした。考古学調査の期間においては、既知の先住民の遺産が陸上施設計画地の内外で特定されました。現在のINPEXララキア・アドバイザリー・コミッティの前身となるララキア文化遺産管理委員会及び北部準州政府の文化遺産管理部と協議の上、文化的に重要な場所や文化遺産の一部はその場所に残し、その他のものについてはヘリテージヒルに移し保護することとしました。
現在は、ララキア所有の企業にヘリテージヒルの管理を委託しており、必要に応じ、ララキアの文化遺産保護監査員を採用した上で、この場所の保護を行っています。
インドネシアのアバディLNGプロジェクトでは、環境社会影響評価制度(AMDAL)において、被影響コミュニティの文化遺産や神聖なサイトについて聞き取り調査を実施し、現況を把握した上で、プロジェクトの実施に伴う文化遺産や神聖なサイトへの影響評価を実施し、影響低減策を策定しています。
7 NAIDOC :「National Aborigines and Islanders Day Observance Committee」の頭文字をとったもので、毎年7月に一週間にわたり、先住民の歴史、文化を祝い、功績を称えるための行事が行われる
先住民自然保護管理員の支援を通じた 文化環境的価値の保護
イクシスLNGプロジェクトでは、オーストラリアの北部準州において、土地や海の管理保護を行う先住民の自然保護管理員の支援のために、今後20年間に及び2400万豪ドルをコミットすることを発表しました。
これは、イクシスの環境オフセットの一環として行うもので、北部準州政府が実施する先住民自然保護管理員助成プログラムに資金提供を行う形で支援を行います。
イクシスからの資金は、北部準州におけるジュゴン、クジラ、そして環境上危惧されている海洋生物の保全管理のための先住民自然保護管理員の活動に役立てられます。
北部準州のセレナ・ウイボ公園管理大臣は、イクシスが北部準州政府と連携し、北部準州の遠隔地にて雇用を生み出し、先住民自然保護管理員の支援を行うことを歓迎と、コメントしました。
「イクシスによる数百万ドル単位の20年にわたるコミットメントは、公益のための企業の投資として目を見張るものです。」
また、ララキアのグループは、助成金が彼らの活動に与えるインパクトについて、「この助成金によって、よりララキアの知識を生かした、ララキア主導の活動を行うことが可能になりました。」とコメントしています。
このプログラムでは、条件を満たす活動に対して、以下の2種類の助成金を拠出しています。
- 車両、トレーラー、船舶、自然火災管理や雑草管理のためのスプレー機器、重機の購入資金
- 野生動物の管理、自然火災や雑草の管理、危惧種の保護、文化遺産保護、研修やスキル開発のための活動費