税務ガバナンス
基本的な考え方
当社は、サステナビリティ憲章において、経営トップの率先垂範の下、法令及びその立法の趣旨を遵守し、各種の国際規範や操業地域における社会的規範に沿った良識ある行動をとることを掲げています。税務においても、当社の役員・従業員は、税務の透明性を確保し、適用される関係諸法令に基づく適正な納税を通じて、事業を行うあらゆる国・地域の経済社会の発展に貢献することが重要な社会的責任の一つと認識しています。
株主価値の最大化の観点から、通常の事業活動の中での利用可能な優遇税制の活用や、二重課税の排除により、税金費用の適正化に努める一方、租税回避を意図したスキームの使用(商業的実体のないストラクチャーの使用)やタックスプランニング、租税回避目的による低税率国の活用は行いません。
また、国外関連取引に適用する取引価格は、OECD移転価格ガイドラインに基づき、独立企業原則に従って算定します。
税務ガバナンス体制
グローバルに事業展開する当社は、海外子会社やクロスボーダー取引が増加しています。また、2015年10月にOECD・G20によるBEPSプロジェクト1の最終報告書の公表に続き、2021年10月にOECD・G20「BEPS包摂的枠組み」において経済のデジタル化に伴う課税上の課題への解決策に関する国際的な合意がまとめられました。その内容を踏まえ我が国を含む各国で法制化が進められており、国際課税を巡る環境は大きく変化し続けています。これらを背景とした、国際取引に関する税務リスクなどに適切に対応していくため、税務ガバナンスの強化に取り組んでいます。この取組みの一環として、当社の役員・従業員の税務コンプライアンス意識を涵養することを目的とする「税務方針」を取締役会の決議により制定し、ウェブサイト上で公表しています。財務・経理本部長はこれらの取組みの責任者として、業務を執行します。
当社は、税務方針に沿った役員・従業員の税務コンプライアンスに関する行動を促進するために税務管理規則を、当該税務管理規則に従い税務管理体制の構築と運用を定めた税務管理細則を2021年に制定しています。同規則においては、租税条約や法令の趣旨を逸脱した節税目的のみの取引は行わないことを規定しています。
1 Base Erosion and Profit Shifting プロジェクト:グローバル企業による、国際的な税制の隙間や抜け穴を利用した過度な租税回避行為を防止するため、国際課税ルール全体を見直すプロジェクト
税務リスク
当社は、税務リスクは経営上の重要な課題の一つであると認識しています。「税務方針」に基づき、当社の税務を担当する部門は、各国の税法、及び移転価格税制などの国際的な税法並びにOECDが公表している租税に関するガイドラインへの知見を深めること、及び担当事業部門と緊密に連携し情報共有することで、税務リスクの低減に努めます。税務リスクの低減に当たっては、 外部専門家の助言を有効活用します。
税務当局との関係
税務当局に対する事前確認制度の利用を通じた事前合意を図るなど、税務当局との建設的な信頼関係を構築し、適切な納税に努めます。
税務の透明性
税に関する企業活動の透明性向上や情報開示を求める動きが世界的に広がる中、当社事業のコアエリアの一つであるオーストラリアでも、大企業が自主的に開示すべき税務情報を定めた原則(Voluntary Tax Transparency Code)が同国政府により公表されています。 同原則に沿って、オーストラリアにおける税務ガバナンス・クロスボーダー取引の概要・納税額などの税務情報を一元化したレポートを作成し、ウェブサイト上で毎年公表しています2。加えて、当社はEITI 参加国について税を含めた政府への納付金額を毎年公表しています3。
グローバル企業として今後とも国際課税の潮流と各国法制の動向を注視し、適時適切な対応に努めます。
2 INPEX Australia 2022 Tax Transparency Report
3 ESGデータ集