地域社会への貢献
当社は、社会のニーズに応え、地域の社会経済発展を支援するために、社会貢献プログラムを実施しています。2023年度は約44億円の社会貢献投資を行いました。
オーストラリアでの社会貢献活動
オーストラリアでは、当社は地域社会の活性化と経済的回復力に貢献しています。「地域社会への投資戦略」では、事業を展開する地域社会に良い結果をもたらすことを目的とした、INPEXの自発的な地域社会投資方針を定めています。本戦略では、以下の重点分野を定めています。
- 教育・育成
- 医療・ウェルビーイング
- 地元企業の能力開発
- 地域の繋がりとレジリエンス向上
2023年度には、地域社会に向けた小規模な助成金から目的に沿った組織との戦略的パートナーシップに至るまで、55以上の地域社会支援プログラムを支援しました。
当社は地域社会との戦略的パートナーシップの構築及び拡大に重点を置き、所在する地域社会において長期にわたる有意義かつポジティブな影響を創出することを意図しています。また、当社の地域社会投資活動を支えるガバナンスと成果測定の枠組みを強化するための措置も講じています。
当社は毎年、スポンサー活動を通じて地域社会のイベントや取り組みを支援するとともに、被災した地域社会に対して災害救助や復興のための寄付を行っています。また、従業員によるボランティア活動、キャリア・メンタリング、能力開発、有償広告及びプロモーションを通じて、地域社会パートナーやそのプログラムに寄付以外の形でも支援を提供しています。
インドネシアでの社会貢献活動
インドネシアのアバディLNGプロジェクトにおいては、環境や伝統文化の保全、経済的機会の創出など、プロジェクト立地地域のコミュニティの持続的な発展に貢献すべく、2009年度からさまざまな活動を行ってきました。活動は、ステークホルダーとの対話を通じてプロジェクト立地地域のコミュニティのニーズを把握し、中長期的な視点で戦略的に策定したSocial Investment Strategyに基づいて実施しています。
2020年度には、「Social Investment Strategy 2021-2023」を策定し、5分野(①地元の経済力強化、②教育、③公衆衛生、④環境、⑤戦略的社会貢献)に重点を置いて、さまざまな取組みを計画・実行しています。このうち、2023年度に実施した取組みは以下のとおりです。
奨学金プログラム
プロジェクト立地地域に拠点を置くLelemuku Saumlaki University Foundationと連携し、2023年末までに56名に奨学金を支給。
健康プログラム(栄養失調・発育不全防止プログラム)
プロジェクト立地地域のコミュニティ(タニンバル諸島県Bomaki村、Lermatang村、Latdalam村)による調査結果をもとに、栄養に関する啓蒙活動、乳幼児健康診断、補助食寄付を実施。
環境プログラム(植林プログラム)
石油ガス上流事業の監督官庁(SKK Migas)と協働しプロジェクト立地地域であるタニンバル諸島県にて種苗場設置及び植林活動を実施。
インフラストラクチャープログラム
プロジェクト立地地域内の教会のリノベーション工事に対する寄付を実施。
自然災害対応プログラム
プロジェクト立地地域のタニンバル諸島県に於いて2023年1月の地震により被害を受けた建物、公共施設、祈祷所の復旧目的で寄付を実施。
INPEX 教育交流財団における奨学支援
本財団は、1981年に設立されて以来、インドネシアと日本の留学生の交流を通じて、両国の相互理解・友好・親善の発展に寄与することを目的として奨学支援事業を行ってまいりました。更に2022年度よりオーストラリア及びUAEを支援対象国に加えました。現在までに受入れた奨学生は、インドネシア人150名、日本人70名、オーストラリア人3名、UAE人2名を数え、奨学生の多くは、各人が留学時に取り組んだ研究分野で、それぞれの母国と日本との友好・親善に貢献しています。
アブダビでの社会貢献活動
アブダビでは、当社、当社子会社のジャパン石油開発株式会社(JODCO)及び当社が設立した一般財団法人INPEX JODCO財団(INPEX JODCO財団)を通じて、教育、環境、文化の3つの分野に重点を置き、社会貢献活動を実施しております。
教育分野では、以下の取組を実施しております。
- アブダビに関係する他の日本企業とともにアブダビ日本人学校にUAE国民子弟を受け入れるプログラムの実施を支援しております。
- アブダビ国営石油会社(ADNOC)とともにアブダビの小学校での公文式算数学習の実施を支援しております。
- 一般財団法人国際協力センター(JICE)が実施するUAE学生向けインターンシップ・プログラムに協力し、UAE学生をインターンとして受け入れております。
環境分野では、以下の取組を実施しております。
- 2023年度からアブダビ日本人学校で日本のマングローブ専門家による講演会を開催するとともに、マングローブの植樹体験を実施しております。
文化分野では、以下の取組を実施しております。
- アブダビ国際狩猟乗馬展示会(ADIHEX)に出展し、鷹狩りや日本刀、飴細工、茶道などの日本の伝統文化を紹介しております。
- 茶道裏千家淡交会アブダビ協会の活動を支援しております。
- 在UAE日本国大使館、UAE柔道連盟とともに柔道日本大使杯を開催しております。
- 2023年度から、Emirates Falconers’ Clubとともに、日UAE鷹狩文化交流支援事業を実施しております。アブダビ日本人学校に鷹狩文化体験を提供するとともに、日本の鷹匠をUAEに派遣し、UAEの鷹匠との交流を実施しております。
- 2024年竣工予定のteamLab Phenomena Abu Dhabiに協賛する予定です。
ノルウェーでの社会貢献活動
当社の子会社である株式会社INPEXノルウェーは、現地法人INPEX Idemitsu Norge AS(IIN社)と ムンク美術館の間でスポンサーシップ契約を締結しております。IIN社は同館設立の1991年以来、前身であるIdemitsu Petroleum Norge ASの時代から30年以上にわたって同館へのスポンサー活動を継続し、 累計1億ノルウェークローネ以上の寄付を行っております。IIN社からの寄付金は同館の拡張や修繕、2004年の盗難事件後の絵画「叫び」と「マドンナ」の修復など、いくつかの主要プロジェクトの実現に貢献しています。
カザフスタンでの社会貢献活動
当社の子会社である株式会社INPEX北カスピ海石油が参画するカシャガンプロジェクトでは、オペレーターのNCOC(North Caspian Operating Company N.V.)による、住居、教育機関、医療機関等の建設や、都市整備などからなる地域社会のインフラ整備事業が1998年より継続して行われています。現時点での、操業拠点のあるアティラウ、マンギスタウ両州における完成事業の数は220を超えています。加えて、ヘルスケア、教育、スポーツ、文化、慈善活動の5つを重点分野とした社会貢献活動プログラムを、両州で実施しています。
日本での社会貢献活動
従業員有志によるINPEX 社内募金を行っています。INPEX社内募金では、毎年従業員が選定した団体に対して、給与天引き方式で寄付が行われ、従業員が寄附した金額と同額を会社がマッチング募金として支援します。募金先としては「環境」「教育・次世代育成」「地域社会支援」を活動テーマとしたNGO・NPO 団体が選定されています。
2023年から2024年にかけては、当社の社会貢献の重点分野の一つである「教育・次世代育成」の一環として、これまで数多くの有望な新人音楽家を世に送り続けてきた「第92回日本音楽コンクール」や、東京国際フォーラムを中心に開催される音楽イベント「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2024」に協賛しています。2023年に協賛した「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2023」では、社内募金の募金先である、あしなが育英会の支援家庭のご家族51名をご招待しました。
秋田鉱場では、地域の関係団体と協業し、秋田市八橋地区の沿道(コスモスロード)での種まきを実施しています。長岡鉱場では、農業関係者や関係団体と協業し、越路原プラント周辺のごみ拾いや花壇の整備を実施しています。
直江津LNG 基地では、石油・天然ガスの誕生から私たちの生活に届くまでを映像で見せる基地内見学施設『INPEX MUSEUM』と、LNG タンクなど設備見学を組み合わせて、行政や地元住民、企業などからの社会見学の期待に応えています。2023年度は、地域の八千浦小学校4〜5年生の基地見学を受け入れたほか、6年生に対して出前授業を行いました。また、市内の環境保全団体が主催する海岸清掃活動への参加や、事業所の近隣道路におけるごみ拾い・草刈りなど、地域の一員として美化活動に取り組んでいます。