私たちは社会に貢献するとともに
企業価値を向上させ、
持続可能な総合エネルギー供給企業
として成長してまいります
まず初めに年初に起きた令和6年能登半島地震の被害にあわれた方々、及び被災地の皆様に心よりお見舞い申し上げるとともに、一刻も早い復興を強く願っております。当社もエネルギーの安定供給を使命とする会社として、僅かかもしれませんが復興の支援をさせていただいています。
さて、当社は2022年に策定したINPEX Vision @2022(中期経営計画)に基づいて2050年ネットゼロカーボン社会に向けたサステナブルな成長を目指す取り組みを進めてきています。日本や世界の状況を見渡しますと、ロシアによるウクライナ侵攻による安全保障環境の緊迫化や、資源・エネルギーの戦略的利用、大幅な円安、物価の高騰など、昨年来不透明な状況が続いております。また、イスラエル・パレスチナ紛争の激化も新たな不安定要素として加わり、世界経済の回復・成長は見通しが困難な状況です。このような状況下で、最近は特にエネルギーの安定供給の重要性を改めて強く感じております。
パリ協定の目標の実現に向けて取り組みも進んでおり、2023年のCOP28の合意文書では公正な移行(Just transition)に関する作業計画や、2030年までに世界で再エネ電源容量を3倍に、エネルギー効率を2倍に改善することが盛り込まれました。また当社はメタン排出量の削減などを業界全体で目指す取組みであるOGDC(The Oil and Gas Decarbonization Charter)に署名いたしました。
このような事業環境の中で、エネルギーの安定供給と脱炭素化に至る一つの道筋として、移行期の燃料(Transition Fuel)としての天然ガス・LNGの重要性が増してきていると感じています。
当社では、豪州のイクシスプロジェクト操業やインドネシアにおけるアバディプロジェクトの開発において天然ガス・LNG事業をCCSと組み合わせることに加えて、通常操業時のゼロフレアによるメタン削減など、温室効果ガス排出量の削減を通じたエネルギーの低炭素化ソリューションに繋がる活動を継続しています。
また、再生可能エネルギー事業においても、Enel社の豪州現地子会社への出資を通じて、豪州再エネ事業に参入しました。今後は、洋上風力・太陽光発電と蓄電池との組み合わせや地熱発電事業を展開し、1-2GW規模の設備容量確保を目指します。これらの再生可能エネルギー事業に加えて、燃焼しても二酸化炭素を排出しないクリーン水素・アンモニア事業のバリューチェーンに早期に参入して事業化することにより責任あるエネルギートランジションを進めていきます。
さらに、人材活用においては、現場力・技術力・国際性といった当社の強みを更に磨き、激変する事業環境においても柔軟に対応できる組織と人材を活用するための戦略を策定しています。特に、従業員のチャレンジ精神、自律的行動を後押しする組織・職場・風土をつくることで「最高に働きがいのある会社」を実現することや、多様な人材が活躍するための適所適材配置と適正な評価・処遇を目指していきます。
また、オーストラリアでは、地域住民の教育や雇用の創出に積極的に貢献するべく、オーストラリア先住民の24企業に対し3年間で1,500万豪ドルを目標として契約締結することを約束しました。2023年度末時点で、当社は先住民及びトレス海峡諸島民が所有する企業16社と取引を行い、総支出額は820万豪ドルに達しました。
こうした取り組みを通じて、私たちは社会に貢献するとともに企業価値を向上させ、持続可能な総合エネルギー供給企業として成長していきたいと考えています。2024年度は中期経営計画の最終年度です。これまでの活動を振り返るとともに、次なる挑戦のために、一層努力してまいります。