プロセスセーフティ管理
基本的な考え方
可燃性流体などの危険物質の漏えい、及びそれに起因する火災、爆発などに代表される重大事故災害の発生を防ぐための、適切な設計、建設、操業・保守を実践するためのシステム及びプロセスの枠組みを、プロセスセーフティ管理と呼んでいます。
プロセスセーフティ管理を徹底することで、施設などのプロセスからの漏えいの発生防止を目指しています。
プロセスセーフティ管理の徹底
当社のプロセスセーフティ管理は、4つの重要エリアとそれを支える20の要素で構成され、各要素にはオペレータープロジェクトが遵守すべき詳細な項目が設定されています。プロセスセーフティ管理の一環として、体系的なリスクの特定及び評価作業を通じて施設のプロセスからの漏えいに起因する重大事故災害の発生を防止しています。また、重大事故災害発生時の影響を軽減するために十分な対策を施していることを示す文書である「セーフティケース」の策定制度を自主的に操業施設に導入しているほか、設備の健全性管理やプロセスセーフティ保証レビューを行い、リスクがALARPであることを確認しています。
2022年度には「プロセスセーフティ管理の継続的改善のためのロードマップ2023-2027」を作成しました。本ロードマップは、5つの重点分野において、INPEXグループ各事業体が2027年までに同じ成熟度に到達する為の道筋の概略を示しており、継続的な改善を体系的に実行することを目的としています。2023年度以降、本ロードマップを実行し当社のプロセスセーフティ管理の強化を図っていきます。
プロセスセーフティの指標
当社は、プロセスセーフティ管理のパフォーマンスを数値化するために、Tier1、Tier2のプロセスセーフティ事故1情報を収集・報告しています。2022年度に発生したプロセスセーフティ事故は、Tier1、Tier2共に0件でした。また、先行指標であるTier3、Tier4については、オペレータープロジェクトで各々定め、監視することでプロセスからの漏えい防止に役立てています。プロセスセーフティの指標を収集・分析し、漏えい事故の再発防止のための教訓や原因の傾向を把握すること、また先行指標として漏えい防止に寄与する活動の実施率などを監視することで、操業の信頼性向上に取り組んでいます。同時に、パフォーマンスをステークホルダーと共有することで、現状のプロセスセーフティの取組みに満足することなく、重大事故災害防止への更なる意識向上を図っています。
1 Tier1、Tier2事故は可燃性流体などの物質の予期しない放出又は漏えいです。国際的な指針に沿って、実際の事故の影響(人への被害、会社への損害額、放出物質の種類や漏えい量など)に応じてTier1やTier2に区分し報告しています。また、先行指標としてTier3、Tier4についても国際的な指針を参照しながら導入しています。
設備の健全性の保証
設備の健全性管理・プロセスセーフティ保証レビューとは、プロジェクトの各段階の適切な時点で、プロジェクトから独立した立場のチームが行う体系的なレビューです。具体的には、プロセスセーフティ管理の20の要素を体現するために定められている各期待事項に対して、各所でどのような取組みを実施しているかを確認するためのレビューであり、レビューを通じて以下の効果が期待されます。
- 資産(設備)が十分に守られていることをマネジメント及びステークホルダーに保証すること
- 当社設備が健全性・プロセスセーフティ管理の要求を満たしていることを確認すること
- プロジェクト間で、良い取組みや教訓が共有されること
そのほかにも、施設立ち上げ前のレビュー、操業準備状況のレビュー、プロジェクトごとに各フェーズに対するレビューを実施しています。これらのレビューで提言された推奨事項の進捗状況を確認し、改善に向けたフィードバックを行うことで、設備の健全性の改善を目指していきます。