「最高に働きがいのある会社」になるために注力している主な取組み
人材育成・開発
人材戦略基本方針に基づき、従業員の中長期的・主体的・自律的な成長を支援しながら、求める人物像に合致する社員の育成、および目指す組織風土の実現に向けた取組みを行っています。
ジョブグレードや役職に応じて必要な知識・スキルを身に着ける研修を行うほか、エネルギー業界の専門知識・ビジネススキルなどを学ぶビジネスナレッジ研修を用意しています。また、グローバルレベルのリーダー人材育成に向け、国際性を養うグローバルプログラム、リーダーシップを身に着け、マネジメント力を強化するリーダーシップ開発プログラム、多様な人材とともに働き成果を出すためのDE&I研修などを実施しています。さらに、自律的なキャリア形成を支援するための取組みとして年齢別キャリアワークショップ、従業員の中から選抜して早期登用を図る選抜型プログラムも実施しています。これらの研修プログラムを通じ、社員に必要な業務知識やスキルを付与するだけでなく自らが成長する意識を醸成することで、プログラム参加者のパフォーマンスと成長を支援し、長期的な組織全体の業績と発展に貢献することを目的としています。
なお、2024年に、リーダーシップ開発関連プログラム(次世代リーダー選抜育成を含む)については、延べ212名の従業員が受講しました。
-人材開発の考え方(社員向けガイドブックより抜粋)
若年層の人材育成・開発

当社では新卒入社から3年間を若年層育成期間とし、社会人基礎力を身に着け、キャリア・オーナーシップを持って自ら成長し続ける人材を育成するために、様々な施策を実施しています。
2024年度は新入社員を対象として、全職種合同の集合研修を約2週間実施し、各部署からの業務内容説明に加えて、グループワークを通じてチームワークを高め、周囲の人と協働する重要さを体感する機会を提供し、社会人として求められるマインドやスキルの習得を促しました。
集合研修終了後は各職種の育成プログラムと並行してパルスサーベイ、外部専門家とのカウンセリング等を定期的に実施し、通年での職場適応と各人の成長を支援し、入社後3年目までに、全職種を対象にフォローアップ研修を実施しています。フォローアップ研修では、各部署に配属された同期が再度集合することで改めてお互いのこれまでの状況を共有し多角的な面での振り返り実施や結束力を強化しています。
その他、先輩社員によるサポートや業務指導を目的とした制度(技術系:メンター制度、事務系その他:トレーナー制度)と、各職種のキャリアプランに合わせた人材育成施策を実施しています。
また、事務系・技術系ともに、業務実践型研修として国内外の事業所、操業現場への若手社員の派遣を積極的に行い、普段とは異なる業務や環境に触れることでの更なる成長や、ネットワークを広げ、グローバルレベルで活躍できる人材育成にも注力しています。
2024年度はオーストラリアをはじめ、ノルウェー、アブダビ等の海外現場や事務所に加えて、新潟等の国内操業現場にて、約80名の若手社員が業務経験を通して研鑽を深めました。
なお、技術系若手社員は上記に加え、入社3年目以降スキルマップ制度を通して、入社6年目を目標に、得意とする専門技術を持ち、他分野の技術者とチームで協力して作業を実施できる自立/自律した技術者を中長期的な視点で育成しています。
一人ひとりのキャリア自律支援
当社ではキャリア・オーナーシップの醸成を目指して、自己啓発制度やビジネスナレッジ研修(自由選択受講制のe-ラーニング)などを通じ従業員の自発的な学習意欲に応じた研修機会の提供を行っています。自己啓発制度は従業員(嘱託社員・契約社員を含む)を対象に、資格支援や語学能力向上のための通信講座・スクール受講費用及び資格取得/更新費用を会社が補助するものであり、2024年度は329名がこの制度を利用しています。
また、30歳、40歳、50歳の節目を迎えた従業員に対し内省や経験の棚卸を行い、自らの適性・価値観・経験などに適した自律的キャリア形成に向けた行動促進の機会としてキャリアワークショップを実施しています。
2023年から社内にキャリアサポートデスクを設置し、所属するキャリアコンサルタントに相談出来る環境を整えています。2024年にはキャリアを考えるためのサポートツールとして「INPEXマイキャリアハンドブック」を全従業員に配布し、キャリアに関する講演会を実施するなど全社的なキャリア意識の向上を図っています。また、エンゲージメントサーベイなどを通じてキャリア意識について継続的にモニタリングを行いながらキャリア開発の促進・充実に向けた取組みを行っています。
次世代リーダーの選抜型育成
変化するビジネス現場で新たな価値を創出することができる、全社的・横断的視点を持った変革実行型リーダーを早期に選抜・育成するため、2021年から一般社員対象の選抜型次世代リーダー人材育成プログラム「Breakthrough Leaders Program(BLP)1」を開始しました。BLPに加えて、2022年からは幹部社員対象のプログラム「Advanced Leaders Program(ALP)2」を開始しています。両プログラムともにこれからの会社を背負う覚悟を持ち、会社の組織を率いて自らの手で会社をよくしていきたいという志を持つ従業員の自薦に基づいて選考を行うことで、自ら動ける次世代リーダーとなり得る人材を選抜しています。BLPは開始4年目を迎え、これまでに5名のBLPプログラム参加者が新規にマネージャーに登用されました。
また、オーストラリアでも2022年よりリーダーの能力開発プログラムを開始し、チームリードやマネージャー職が、研修を通じてリーダーに求められる資質と行動をより一層向上させることを目指しています。
1選抜された社員一人一人のこれまでの経験を踏まえて最大5年間の育成プログラムを策定し、戦略的・意図的かつ短期集中的にタフアサインメント(より高度な業務、リード業務、新しい部署での業務など)の経験を積むことで選抜された社員の加速度的な成長を図り、早期マネージャー登用を目指すプログラム
2国内外のマネジメント・ビジネスプログラムに参画し、最先端の情報や時代の潮流を学ぶことを通じて課題設定力を養い、また、他社の社員との交流により自らの基軸を形成し豊かな発想を持つ次期経営層人材を創り出すプログラム
リーダーシップ開発
一般社員向けリーダーシップ開発プログラムについては、それぞれの階層にて求められる期待役割およびリーダーシップに関する理解促進、能力開発を盛り込み、自ら成長し、業務を遂行する意欲を高めています。 幹部社員登用後は、新任の幹部社員としてシナリオプランニング・ビジネスプランニングを学ぶ新任幹部社員研修、人事評価やフィードバックについて学ぶ新任マネ-ジャー研修、ビジョンメイキングについて学ぶ新任ジェネラルマネージャー研修などの集合研修を開催しています(各研修対象者の100%が受講)。また、社長以下全マネジメント層に対して360度フィードバックを2023年から実施しています。対象者が職務行動についての他者のフィードバックを受けることで自省を促し、行動変容につなげてマネジメント力を強化することを目的としています。
デジタル技術のリスキリング
当社では社員向けのデータサイエンス・プログラミング技術を持つ人材を増やすことで企業の競争力を強化することを目指すべく、Digital Academyを開設し、主にDX案件を企画・推進する人材、高度データ活用・管理・分析をする人材についての育成を目的に、複数のデジタル関連教育を実施しています。このコースで習得した知識は、データ分析・管理能力を高めるために応用することができ、2023年6月から実施した第一期の全社員のデジタルスキル向上のためのDXリテラシー講座では、幅広い職群から約350人の参加がありました。講座後の参加者アンケートでは141名の回答があり、この内、実際の業務効率を定量的に改善したと回答した37名が平均して5時間の効率化を実現しました。引き続きデジタル技術のリスキリングを進めることで、長期的な組織への貢献を期待しています。
人事評価・人員配置の仕組み
当社の人事制度はフェアであることを人材マネジメントの考え方の根底に置き、「職務を基準とした“フェア”な等級制度」、「“Pay for Job/Performance”の報酬制度」、「“透明性”のある評価制度」の3つをコンセプトとしています。
人事評価については、年に一度、職務目標評価(目標管理)と職務行動評価(コンピテンシー)の2つの評価軸のもと実施しています。
評価プロセス・基準を評価者に開示することで透明性と公平性を担保し、(1)上位目標・職責と連動した目標設定、(2)リアルタイムのフィードバックと進捗確認、(3)メリハリある評価・処遇を行うことで組織としての業績目標の達成と個人の成長に繋げています。
人員配置については定期的に各部門における幹部社員のポジションや後継者プラン、タレントに関するレビューを行うとともに、ラインマネジメントのポジションについては任期制を設けることで、人材配置の硬直化、業務の属人化、登用機会の減少防止に努めています。
各従業員に対しては、希望する業務内容や異動部門を申告できる仕組みを設け、従来は年に一回であったところ、2024年度からは常時申告できるように変更を行いキャリア展望をタイムリーに把握できるようにしたほか、上司と部下間の高頻度かつ定期的な1on1の実施を通して、中長期のキャリア開発に繋がる対話を促しています。また、社内公募制度や社内副業制度により従業員が自身のキャリアを選択し、実現できる機会を設け、従業員の意欲を引き出しつつ、適切な人材配置と任用に繋げています。一方で、個々人の都合により退職を余儀なくされた意欲のある従業員の復職を可能とするため、ジョブリターン制度も整備しています。
多様性の推進
DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)方針
当社グループは、DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の推進は「最高に働きがいのある会社“Employer of choice”」を目指すうえで欠かせない重要な要素であると考えています。DE&Iの推進を通じた多様な社員の活躍により、激変するビジネス環境下においても永続的に成長することで、エネルギー開発を通じてより豊かな社会づくりに貢献し社会から評価される企業を目指します。
- 人権に関する国際規範を尊重し、人種、肌の色、性別、性的指向、性自認、年齢、信条、宗教、出生、国籍、各種障がい、学歴などによる差別を行いません。
- 社員一人ひとりの個性、多様性を相互に尊重し活かしあい、社員がその自己実現を行う機会を公正・公平に得られるように配慮します。
- ハラスメント又はハラスメントと誤解されるおそれのある行為などは許容しません。
- 女性活躍推進をはじめ多様な人材の能力を最大限に発揮する機会を提供し、活力とイノベーションの創出につなげます。
- 多様性の受容、成長意欲、自律的行動をもとに、ビジネス現場で価値を創出する人材を育成していきます。
- 上記の取組みを周知徹底させ、社員が安心して働ける職場環境をつくります。
女性活躍の推進
「DE&I方針」に基づき、女性が存分に力を発揮できる環境整備に積極的に取り組んでいますが、依然として職種による偏在および女性管理職割合の低さが課題であると認識しています。
この課題解決に向け、当社では2024年に女性社員有志で構成する「女性活躍推進タスクフォース」を立ち上げ、当社を女性にとって日本で最も働きがいが感じられる会社にしていくこと、女性の働きがい向上が男性等も含めた全社員にとっても最も働きがいが感じられ、高い幸福度を感じながら仕事に取り組むことができる環境にしていくことを目指し、寄せられた課題に対する解決にむけて各種施策の取組みを進めています。
また、新卒採用における女性学生対象のイベント開催などの女性母集団形成に向けた施策の継続実施、キャリア採用を含む毎年の新規採用者に占める女性割合が30%以上になるようにすることを通じ、女性管理職となり得る人材を一層積極的に確保していくとともに、学びの機会等を提供し、成長を支援することで、女性管理職比率向上に取り組んでいます。 また、育児休業取得率について、男性の育児休業取得率は目標達成に向けて取得率向上に向けた支援を継続し、育児や介護などの事情に応じた両立支援に引き続き取り組みます。
LGBTQ+
当社におけるダイバーシティとは人や事業に関する全ての違いを意味し、そこには性的指向や性自認も含みます。
LGBTQ+に関する理解促進のため2017年から従業員および役員向けに社内研修を継続実施しているほか、2024年度は採用面接官に向けたセミナーや、人事情報を取り扱う担当者向けの研修を実施しました。2019年度に社員有志によるINPEX LGBT ALLY3 が活動を開始し、2024年度はALLY主催の下「ダイバーシティ座談会」を開催し、LGBTQ+テーマを含めた社内マイノリティに関する意見交換を行いました。
社内制度の整備にも取組み、2020年度にLGBT当事者であることを理由に出張命令を断ることができるようにし、2021年度には、従業員の同性パートナーとその子どもを「家族」として取り扱い福利厚生などの対象とするとともに、自認する性を通称名に使用できるよう整備しました。
また、LGBTQ+に関する社内相談窓口に加え、2022年度より社外専門家による相談窓口を設置しました。これらの積極的な継続的取組みが評価され、日本初の職場におけるLGBTQ+などの性的マイノリティへの取組みの評価指標「PRIDE 指標」において、2019年度より連続してゴールドまたはシルバーを受賞しています。
3組織名のALLYは「支援者」「理解者」に由来
外国籍社員
当社では多様性のある職場環境が活力を生むという考えのもと、外国籍社員も積極的に採用しています。更に、お互いを尊重し、認め合いながら事業に貢献していけるような職場環境と人間関係を築くことを意味するインクルージョンを実現するため、特に日常業務を英語で行う外国籍社員に対して、日本での生活や仕事での負担をできるだけ軽減すべく、日本渡航時のリロケーションサポート、社内のイントラネット上での掲示物やドキュメントの和英併記を行っているほか、社外から講師を招聘して週1回の日本語レッスンも行うなど、安心し、いきいきと働ける就労環境の整備を行っています。
シニア層の活躍に向けた取組み
シニア層の自律的なキャリア形成支援を目的として50歳の従業員に向けて自己内省や経験の棚卸を通じ、更なる活躍、成長に向けたプロセスを自らがデザインすることを学ぶキャリアワークショップを実施しています。
2022年度からは所属するキャリアコンサルタントによる60才の節目に向けたキャリアビジョンの方向性や行動について考えるキャリアコンサルティング面談を55歳の従業員に対して実施しています。
また、2023年4月にシニア層(再雇用嘱託)の人事制度を改定し、60歳以降の業務の役割に基づく報酬体系に変更しています。
なお、2019年度に当社の100%子会社のINPEXソリューションズを設立し、同社においては当社のシンクタンクとして調査・研究、コンサルティング、人材育成を行っています。定年を迎えた当社従業員の多くが同社に転籍し、自身が培ってきた知見の発信や新規事業の創出など、各人が持つ専門性を生かした業務に従事しています。
障がい者雇用の推進
障がい者雇用については、業務内容や職場環境等を考慮しながら、引き続きの採用活動を行っており、2024年度(2024年12月31日時点)の当社国内における障がい者雇用者数は48名(雇用率は3.0%)となっています。2020年度からは在宅勤務が定着したことにより身体障がいを抱える人にとってより働きやすく就労しやすい職場環境となっており、法定雇用率を上回る雇用率を維持しています。また、新型コロナウイルス感染の環境下を経て、チャットを活用しての会議の開催、字幕機能付き会議ソフトの利用等、障がいを持つ従業員の負担を軽減する施策を推進しています。更には、雇用後のオンボーディング(定着に向けたフォロー)として、定期的な面談を実施する等、安心して就業いただける環境整備を目指しています。
ワーク・ライフ・バランスの推進
DE&Iに関する基本的な考え方に基づき、従業員が個々の事情に応じて働ける環境づくりを目指し、それぞれのライフスタイルに応じて能力を最大限に発揮できるよう、ワーク・ライフ・バランスを推進しています。
取組み推進の一環として、2019年4月より、これまで育児・介護に携わる従業員などに利用が限定されていたフレックスタイム勤務制度を全社的に導入し、加えて、2020年4月より、事務所勤務者を対象に在宅勤務制度を導入し、柔軟な働き方を実現しています。
2021年4月には、フレックスタイム制におけるコアタイムを廃止、さらに、国内操業現場勤務者も本制度利用対象に含めています。また、半日単位の有給休暇取得に加え、夏季連続休暇取得の促進や有給休暇取得推奨日の設定も継続実施しており、心身両面をリフレッシュできる環境を整えています。
時間外労働時間削減の取組みとしては毎週水曜日をワーク・ライフ・バランスデーとして早めの帰宅を促すとともに、継続的に一定以上の時間外労働を行っている従業員がいた場合、上司と人事部門は、現状把握や問題点の共有、解消策の確認などのコミュニケーションを図っています。
このほか、多様性や個性を尊重し、従業員が一層いきいきと働くことができる職場環境をつくり出すため、ビジネスカジュアルのドレスコードを、年間を通じて実施しています。
育児・介護の支援
育児や介護に携わる従業員の仕事と家庭の両立を支援する環境整備に積極的に取組み、さまざまな支援制度を整備しています。当社では法定の育児休業(子どもが満1歳を迎える前日または保育所などにおける保育の利用ができず、会社に認められる場合は最大2 歳に達する日:24か月)に加えて、育児休業開始日から5日間は100%の給与支給、育児・介護休業期間中も基準内給与の20%相当を私傷病・産育休手当として支給4 と、法定を上回る制度を整備しています。また、対象者一人当たり5日5 取得できる子の看護/看護・介護休暇についても、法定を上回る形で有給としています。
さらに、育児や介護を理由とした短時間勤務利用についてはフレックスタイム制度と併用ができ、日々異なる時間帯や短縮時間を認める柔軟性が高い運用をしています。
制度面を整えるだけでなく、「育児世代を部下に持つ上司向け研修」、「男性育児休業経験者による座談会」、「育児休業復帰直後の社員を集めたトップメッセージの共有」などを通じて、育児の当事者および関係者に対して、育児と仕事の両立に関する不安の軽減や、上司からの適切なフォローなどが行えるようソフト面の整備も進めています。加えて、男性の育児参加を推進すべく、男性従業員が育児休業を取得するメリットや制度詳細をまとめた資料などを社内イントラネットで公開するなどに取り組んできた結果、男性の育児休業取得率も上昇傾向にあります。また、2024年9月には、短時間勤務が可能となる子の対象を小学校卒業までに、時間外労働および深夜業の制限、所定時間外労働の免除を中学校卒業まで拡大し、育児と仕事の両立のための環境整備や、育児休業に対する更なる理解促進を図っています。
育児休業から復職する従業員が抱える不安を取り除けるように、復帰前の座談会を開催するほか、休業中にスキルアップを望む方々が自己啓発制度を利用できるようにするなど、個々の意欲を後押ししています。また、子どもが満1歳に達する前に職場復帰した従業員は、子どもが満1歳に達する前日まで一日30分×2回の哺育時間(有給)が使用できます。
育児世代の従業員の就労支援策としては、子どもが満3歳に達するまで保育補助制度を設けているほか、従業員の子女の入園優先枠を確保できるよう企業主導型保育契約への締結や、ベビーシッター利用者支援事業への加入など進めています。
これらの取組みが評価され、当社は東京労働局から、従業員の仕事と子育ての両立を支援している「子育てサポート企業」として、2012年より継続して、5度目の次世代認定マーク(愛称:くるみん)を取得しています。
また、法定では要介護認定者に対してのみ認められている介護休暇についても、当社では認定の有無に関わらず、高齢の親のための付き添いといった柔軟な運用も認め、従業員の介護との両立も支援しています。
4育児休業を取得する期間は、休業前のおおよそ67%、または50%を育児休業給付金として公共職業安定所(ハローワーク)から受け取ることができ、当社は育児休業給付金とは別に、法定を上回る形で育児休業期間中、基準内給与の20%相当を私傷病・産育休手当として支給
5対象者が2名以上の場合は最大10日
健康経営
INPEXグループ健康宣言
「社員一人ひとりの心身の健康が会社の基盤である」という考え方の下、会社が健康管理を経営課題として捉え、従業員およびその家族の健康保持・増進に取り組んでいくことを明確にするため、社長を最高健康責任者(Chief Health Officer)として2018年9月に「INPEXグループ健康宣言」を制定しました。
宣言では、従業員とその家族の心身の健康保持・増進と社員一人一人が十分に能力を発揮できる働きやすい職場環境を形成し、活力に満ちた企業風土の醸成を図るように取り組むとともに、自分の健康は自分で守る意識を持って生活習慣の改善など、自らの心身の健康づくりに主体的に努めることにしています。
健康経営の運営体制
最高健康責任者である社長の率先模範の下、会社・労働組合・健康保険組合・産業医が一体となって健康保持・増進や職場づくりに取り組んでいくため「健康経営推進委員会」を設置して(委員会発足日:2018年9月26日)推進体制を構築しています。
委員会は年に1回以上定期的に開催し、各事業所の担当者や安全衛生委員会、提携医療機関とも連携を図り、2022年度に中長期視点で策定した「INPEX健康経営戦略マップ」を下に健康課題の把握や各施策の効果検証を行いながら、毎年の重点施策を審議する取組みをしています。このPDCA サイクルを繰り返す継続的な取組みにより、全社一体となって戦略的に健康経営を推進することができており、これまで「健康経営銘柄(4回)」、「健康経営優良法人(大規模法人部門)(ホワイト500)(5回)」などの健康経営優良法人に選定されています。
健康経営推進委員会の体制
審議事項など
- 社員の健康課題の把握と必要な対策に関すること。
- 健康経営の実践に向けた基礎的な土台づくりと職場環境の対策に関すること。
- 社員の心と身体の健康づくりに向けた具体的対策に関すること。
- 健康保持、増進を目的とした導入施策への効果の検証。
- その他健康保持、増進に関する重要事項。
健康保持・増進の取組み施策
当社グループは、「INPEXグループ健康宣言」の下、各国又は各グループ会社の文化や慣習等の実情を踏まえながら、従業員とその家族の心身の健康保持・増進と社員一人一人が十分に能力を発揮できる働きやすい職場環境を形成し、より一層の健康保持・推進、Well-beingへのニーズに応える職場づくりに向けた取組みを進めています。
当社では、集団健診の実施や受診予約サービス提供による人間ドック受診、保健師又は産業医による健診結果の確認・面談実施、特定保健指導など、従業員が受診したその結果を理解し、生活習慣予防をはじめ日々の生活に活かせるような施策を行っています。また、ウォーキングキャンペーン実施や各種サークル活動への費用補助、健康アプリ提供やオンライン健康セミナー開催など、従業員の健康行動につながる施策や環境を整備し、健康保持・増進に向けたさまざまな施策を実施しながら、全体の健康水準向上を図る取組みを行っています。
なお、健康診断受診率やストレスチェック受検率、時間外労働平均、有給休暇取得率、特定健康診査受診率や特定保健指導実施率などは具体的な目標を設定し、プレゼンティーイズム・アブセンティーイズムを低減させ、社員一人一人が健康意識を高く持ち、心身ともに健康でいきいきと働ける会社の実現に向けて取り組んでいます。
メンタルヘルスの取組み
当社グループでは、メンタルヘルス対策強化を世界共通の課題として認識し、eラーニング、医師との連携、職場復帰フォローなどの取組みを進めています。
当社では、法令に定める年1回のストレスチェック実施時にエンゲージメント調査も合わせて実施のうえ、所属する組織状態の分析を行い、その結果を各組織にフィードバックして改善を促すことで、より働きやすい職場づくりを目指しています。ストレスチェックの受検率については毎年90%を超える高い水準を維持し、これにより従業員のメンタルヘルスやエンゲージメントを定期的に確認しているとともに、四半期に1回実施しているパルスサーベイにおいては、回答結果を上司が閲覧できるようにし、組織や個人の状態をタイムリーに可視化し、組織の課題改善と個人のフォローに繋げる取組みを進めています。
また、メンタルヘルス疾患者に対しては、主治医、産業医、保健師、人事、所属部門上司が連携し、休業中の従業員・復帰後の従業員に対する各種フォローを実施しているほか、海外の駐在員と帯同家族へは心理カウンセラーによる相談サポートも導入しています。
さらに、新入社員に対しては入社時の研修で心理的安全性に関する教育や、心身の不調を相談できる外部の従業員支援プログラム(EAP)面談、先輩社員が業務上の指導や精神的サポートを行うメンター制度(事務系は入社1年目、技術系は入社1、2年目)およびサポーター制度(事務系入社2、3年目)についても定着しています。
その他の健康課題に対する取組み
当社では、海外拠点に駐在する従業員とその家族については、法令による赴任前・帰任後の健康診断に加え、赴任中も年1回の健康診断実施を義務化して、定期的に健康状態の確認をしているほか、傷病時の国外搬送を含む緊急搬送体制を整備しています。
また、感染症予防対策として、職域でのインフルエンザ予防接種・費用補助や2024年度からは全従業員を対象にした麻しん・風しん感染症予防対策としての抗体検査にも取り組んでいるほか、駐在する従業員とその家族へは、各種感染症予防接種や赴任先における感染症に関するリスク(マラリア、ジカウイルス、HIV、結核等)と海外医療リスクの周知、赴任先の医療情報提供など、従業員とその家族の感染症に対する不安解消および健康維持に努めています。
さらに、がん等に罹患した従業員が、治療と仕事を両立できる環境づくりにも努め、病気休暇の新設や勤務方法の柔軟化(時短勤務延長や短時間フレックス、週当たりの勤務日数の選択)などの整備のほか、全従業員を対象にしたがん検診補助の実施に加え、2024年度からは新たに女性特有の健康課題に対する施策として「がん検診受診キャンペーン」を実施しています。
当社の健康経営のための取組み実績
2024年度実績
健康経営推進委員会の開催
- 2024年6月10日、2024年12月12日の2回開催
健康経営施策に関する主な取組み
- INPEX健康経営戦略マップの一部改定
- 「オンライン健康セミナー」と「朝食欠食と野菜不足解消の食生活改善に向けたスムージーデリバリー」を組み合わせたトータル健康サポートプランのプラン変更(健康セミナーの回数増加変更)
- 健康保険組合と連携したウォーキングキャンペーンの実施
- メンタルヘルス対策強化に向けた「セルフチェック強化月間」の実施
- 女性社員を対象にしたがん検診受診キャンペーンの実施
- 喫煙対策3年目の取組み
- 麻しん・風しん抗体検査の実施
健康投資項目 |
|
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
健康行動促進 |
健康サポートアプリ導入率(%) |
20.0 |
58.3 |
3.8 |
||||||||||||||
健康イベント参加率(%) |
3.8 |
– |
– |
|||||||||||||||
オンライン健康セミナー参加率(%:2022年~) |
– |
11.6 |
12.0 |
|||||||||||||||
生活習慣病・重症化予防 |
特定保健指導実施率(%) |
23.7 |
30.7 |
26.2 |
||||||||||||||
定期健康診断受診率(%) |
100.0 |
100.0 |
100.0 |
|||||||||||||||
二次健診受診率(%) |
79.6 |
83.7 |
72.5 |
|||||||||||||||
駐在員の一時帰国時健診受診率(%) |
51.7 |
60.2 |
69.2 |
|||||||||||||||
がん検診補助申請件数(件) |
17 |
19 |
33 |
|||||||||||||||
病気休暇取得件数(件:2022年~) |
– |
11 |
95 |
|||||||||||||||
病気休職者(人) |
0 |
1 |
4 |
|||||||||||||||
喫煙率(%) |
16.3 |
16.6 |
21.8 |
|||||||||||||||
適正体重維持者率(%) |
70.5 |
68.4 |
63.3 |
|||||||||||||||
運動習慣者比率(%) |
36.3 |
29.2 |
31.7 |
|||||||||||||||
「睡眠により十分な休養が取れている人」の割合(%) |
81.0 |
77.5 |
72.9 |
|||||||||||||||
飲酒習慣者率(%) |
17.9 |
18.6 |
24.1 |
|||||||||||||||
血圧リスク者率(%) |
0.2 |
0.4 |
0.5 |
|||||||||||||||
血糖リスクと考えられる人の割合(%) |
0.2 |
0.5 |
0.4 |
|||||||||||||||
糖尿病管理不良者率(%) |
0.5 |
0.6 |
1.3 |
|||||||||||||||
メンタルヘルス対策 |
セルフチェック受検率(%) |
18.2 |
17.5 |
16.1 |
||||||||||||||
ラインケア/セルフケアセミナー参加率(%) |
– |
– |
84.6 |
|||||||||||||||
ストレスチェック組織診断受検率(%)1 |
91.3 |
93.1 |
93.1 |
|||||||||||||||
ストレス反応(偏差値) |
50.6 |
50.6 |
50.8 |
|||||||||||||||
ワークエンゲージメント(偏差値)2 |
52.0 |
52.7 |
52.5 |
|||||||||||||||
高ストレス者割合(%) |
6.3 |
6.3 |
6.5 |
|||||||||||||||
高エンゲージメント者割合(%) |
14.7 |
15.8 |
16.3 |
|||||||||||||||
心理的安全性(偏差値) |
50.8 |
50.9 |
51.5 |
|||||||||||||||
アブセンティーイズム(日)3 |
1.1 |
0.9 |
2.0 |
|||||||||||||||
プレゼンティーイズム(点)4 |
64.6 |
65.4 |
64.7 |
|||||||||||||||
メンタル不調長期欠勤・休職者数(人) |
17 |
16 |
23 |
|||||||||||||||
各種相談窓口相談件数(件) |
222 |
201 |
254 |
|||||||||||||||
ワーク・ライフ・バランスの推進 |
平均残業時間(時間) |
22.6 |
21.9 |
21 |
||||||||||||||
法定外労働月45時間超延べ人数(人) |
1,413 |
1,654 |
1,131 |
|||||||||||||||
法定外労働月80時間超延べ人数(人) |
69 |
82 |
26 |
|||||||||||||||
休暇取得率(%) |
66.5 |
71.8 |
74.0 |
|||||||||||||||
チームビルディング実施率(%)5 |
– |
48.4 |
77.0 |
|||||||||||||||
各種サークル活動補助使用率(%) |
17.0 |
62.8 |
54.0 |
|||||||||||||||
カフェテリアプラン利用率(%)6 |
51.5 |
56.4 |
85.6 |
|||||||||||||||
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そのほかの健康保持・増進に関する取組み一覧
健康対策全般
- 医務室・健康管理室の設置(産業医・保健師・看護師)
- 健康相談窓口の設置
- 生活習慣病予防の支援
- 健康診断費用の補助
- 二次健診受診時の就業時間認定
- 予防接種を受けるための就業時間認定
- 提携医療機関によるがんセミナー開催
- オンラインエクササイズの実施
- ラジオ体操の実施(始業前)
- 厚生活動への費用補助
- カフェテリアプラン導入によるスポーツ施設の利用促進
そのほかの取組み
本部長Award・GM Award
従業員の日々の活躍に対する認知(Recognition)を通じた組織活性化を目的に、本部長による本部長Award、GM(部長クラス)によるGM Awardを実施しています。
カフェテリアプラン制度(選択型福利厚生制度)
従業員に対して毎年ポイントを付与し、その範囲内で自分にあった福利厚生メニューを選択する制度を導入しています。 メニュー例:育児・介護支援、疾病予防、フィットネスジム・スポーツ施設、レジャー、エンタメ 等々
社内交流支援(チームビルディング、レクリエーション活動)
組織内の一体感醸成・関係強化、社内交流・コミュニケーション促進を目的に費用補助を行っています。
従業員持株会(加入率62%)
持株会に入会した従業員に対して奨励金を支給するなど、会社として従業員の中長期的な資産形成を支援しています。
選択型確定拠出年金制度(加入率80%)
従業員は、一定の手当額を「給与での受け取り」もしくは「年金制度への拠出」から自身のライフプランに応じて選択でき、会社として将来に備えた資産形成を支援しています。
がん等の難病に罹患した従業員の業務との両立支援
「がん」又は「国が指定する特定疾患(難病)」に罹患した従業員には、治療内容に沿った柔軟な勤務体系を認め、仕事と治療の両立支援をしています。