Sustainability Report 2024

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Sustainability Report 2024

指標と目標

重大な事故ゼロに関する指標と目標

当社が事業を行うにあたり、死亡事故、重篤負傷、重大漏えいなどは、絶対に起こしてはならない重大な事故と既定し、「重大な事故ゼロ」を経営目標の一つとして、全従業員共通のセーフティの目標を定めています。なお、2024年度の重大な事故はゼロでした。

その他の指標と目標

セーフティパフォーマンスを数値化するために、当社のプロジェクトに関わる全ての従業員や協力会社の負傷事故を対象とした安全指標である、休業災害発生率LTIR1および労働災害発生率TRIR2について、IOGP の定める報告ガイドラインに基づき集計しています。さらに、IOGP参加企業とのベンチマークも取りながら、当社の設定した目標達成に向けた進捗のモニタリングを実施しています。

2024年度のLTIRの結果は0.45、TRIRの結果は2.06となり、それぞれ前年度の数値よりも改善しましたが、目標値には未達でした。また、イクシスLNGプロジェクトにおいてTier 1プロセスセーフティイベント3が発生しました。これは陸上のLNG生産施設において、減圧弁のシール部分が損傷したことで可燃性ガスが漏えいした事例ですが、漏えい検知後直ちに関連するラインを停止し、減圧弁の補修、原因究明および再発防止策を実施しています。

1Lost Time Injury Rate:百万労働時間当たりの死亡災害と休業災害の発生率

2Total Recordable Injury Rate:百万労働時間当たりの死亡災害、休業災害、不休災害および医療処置を要する労働災害の発生率

3プロセスセーフティTier1、Tier2事故は、可燃性流体などの物質の予期しない放出又は漏えいであり、IOGPの要求事項に従い、実際の事故の影響(人への被害、会社への損害額、放出物質の種類や漏えい量など)に応じてTier1やTier2に区分し報告している

事故を未然に防ぐ取組み

事故を未然に防ぐ取組み (グラフィック)

HSEに関する目標と実績(2024年度HSE重点目標)

環境を含む2024年度HSE重点目標の評価および今後の対応は以下のとおりです。環境分野についての当社の取組みは「生物多様性と環境汚染対策」をご覧ください。

2024年度HSE重点目標

1.事故を未然に防ぐ取組みの強化

2024年度重点目標

評価

評価と今後の対応

事故情報・教訓の速やかな共有、根本原因などの傾向分析を行うことに加えて、社員及び協力会社への安全教育や対話を徹底する。

  • INPEX全体のLTIR、TRIRは昨年より微減したものの(2023: LTIR 0.51、TRIR 2.17、2024: LTIR 0.45、TRIR 2.06)、IOGP平均レベル(参考値2023: LTIR 0.24、TRIR 0.84)は未達であった。
  • イクシスにおいて、Tier1プロセスセーフティ事故が1件発生した。
  • 安全パフォーマンス悪化を受けて、安全月間を全社的に展開・実施するとともに、分析に基づいた事故要因に集中した啓発活動を実施した。
  • 負傷事故の大半を占める協力会社の事故件数削減のため、安全教育やHSE管理の強化を推進する方針。

2.体系だったプログラム通じたプロセスセーフティ管理の更なる改善

2024年度重点目標

評価

評価と今後の対応

ロードマップに基づく設備健全性及びプロセスセーフティ管理の取組みを着実に実施する。

  • プロセスセーフティ上必要な力量の管理に関する仕組みを構築し、国内プロジェクトにおいて本仕組みの力量評価に関する試験導入を実施。プロセスセーフティの力量管理指針の初版を発行した。今後オペレーション事業体への展開に着手する予定。
  • イクシスLNGプロジェクトにおけるプロセスセーフティリスクの可視化について改善を実施。全社的なHSEリスク管理・報告のプロセスについて、今後更なる改善を加えていく予定。
  • 複数のプロジェクトの設計業務を通じ、水素・アンモニアへの安全設計・評価に対する実践的な知見を習得した。
  • プロセスセーフティファンダメンタルズ(PSFs)の浸透およびプロセスセーフティに関する意識向上を目的として、本社・国内各所に対して啓蒙セミナーを開催。

3.地球環境課題への取組みと環境価値の創造

2024年度重点目標

評価

評価と今後の対応

全社的な環境・社会影響管理の基盤を構築する。また、温室効果ガス排出量削減に向けた全社的な検討を進めると共に、地球環境課題に取り組む。

  • 気候変動対応推進G、技術戦略・プロジェクトサポートUとの連携の下、温室効果ガス排出量削減に向けた体制を構築。メタン排出管理に関しては、OGMP2.0に正式加盟し、報告を開始。Gold standard for pathwayを取得。
  • 生物多様性については、各オペレーション事業体においてTNFDの要求事項に準拠したトライアル評価を実施。各オペレーション事業体における自然との接点や、影響と依存を特定した。
  • 生物多様性、廃棄物管理、水管理に関し、それぞれについて測定可能な定量目標を設定した。

4.新たな脅威への備え

2024年度重点目標

評価

評価と今後の対応

サイバー攻撃、自然災害、地政学的リスクに対する計画の確認や見直し等を通じ、新たな脅威への備えの強化を推進する。

  • 各事業体で、自然災害や地政学的リスクに関連する緊急時対応訓練を継続している。
  • 地政学リスクを想定した緊急時対応計画書を複数の海外拠点に対して策定し、訓練を定期的に実施した。
  • 首都圏地震を想定したコーポレート危機対応訓練を実施した。
  • 海外出張時の安全に関する外部専門家によるセミナーを複数回開催した。

5.健康管理・感染症対策の強化

2024年度重点目標

評価

評価と今後の対応

コーポレート健康管理要領に基づき、メンタルヘルス、感染症及び疲労管理を含む健康管理及び健康パフォーマンスの改善に取り組む。

  • メンタルヘルス対策として定期的な「ストレスチェック」を継続。
  • 国内勤務者を対象とした専門医によるメンタルヘルスセミナーを開催した。
  • イクシスLNGプロジェクトにおいては、ピア(同僚)サポートプログラム、および心理学の専門家による操業現場・事務所への定期的な訪問を実施中。
  • 現場における熱中症対策への取組みを強化している。

6.HSEリーダーシップの発揮及びHSEMSの有効性向上

2024年度重点目標

評価

評価と今後の対応

HSEMS GAP分析及びコーポレートHSE監査の結果を活用し、HSEMSの有効性を向上させる。また、監査の品質及び監査能力を向上させる。

  • 国内外の事業体の現場を対象として、計6回のマネジメントサイトビジットを実施した。
  • 国内事業体においては、現場訪問時の懇談会や視察を充実させている。
  • 各プロジェクトレビューにHSE要員が参加し、HSE体制およびHSEマネジメント文書の準備状況を確認している。

7.HSE力量向上及び人材確保

2024年度重点目標

評価

評価と今後の対応

HSE要員の育成及び社員のHSE力量を向上させる仕組みの原案を作成する。

  • コーポレートからプロセスセーフティエンジニアや環境専門家を国内外の事業体に派遣。
  • イクシスLNGプロジェクトからHSEアドバイザーをコーポレートに短期派遣。
  • 国内外の事業体のHSE担当者が集まり、それぞれの経験や教訓を横断的に共有する場としてHSEフォーラムを開催。

8.ネットゼロ5分野へのHSE管理の実践

2024年度重点目標

評価

評価と今後の対応

ネットゼロ5分野のプロジェクトに対しても積極的にHSE管理に関与し支援を行う。

  • 平井ブルー水素、長岡メタネーション実証、奥飛騨地熱井掘削等のネットゼロ5分野におけるHSE管理を継続して取り組み、重大な事故無く作業を実施した。
  • JOGMEC委託事業公募における首都圏CCS事業に正式採択され、HSE管理体制の構築に着手した。