基本的な考え方
当社はパリ協定⻑期⽬標達成に向けた各国の取組みを⽀持し、パリ協定目標に則した気候変動対応⽬標として、2021年1月に、2050年自社排出絶対量ネットゼロ(Scope1+2)目標を定めました。2022年2月には、「INPEX Vision @2022」を発表し、我が国及び世界のエネルギー需要に応えつつ、2050 年ネットゼロカーボン社会の実現に向けたエネルギー構造の変革に取り組んでいます。また、当社重点テーマに「気候変動対応」を掲げ、温室効果ガス排出原単位の低減を含めた気候変動対応目標達成への取組みと水素や再生可能エネルギーをはじめとするネットゼロ5分野の推進を行っています。
気候変動対応関連の情報開示については、TCFD 提言に沿った開示を推進しています。なお、当社は、国の気候変動に関連する法規制(エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律、地球温暖化対策の推進に関する法律等)や様々な政策を支持し、当社の方針や事業戦略に落とし込んでいます。主要な拠点である日本では、政府が推進するGXリーグ1に参画し、ネットゼロに向けてリーダーシップを発揮する企業の一つとして、排出量取引制度(GXーETS)や市場形成ルールに参加しています。
1 2050年カーボンニュートラル実現と社会変革を見据えて、GXヘの挑戦を行い、現在及び未来社会における持続的成長実現を目指す企業が同様の取組を行う企業群を官・学と共に協働する場
担当役員のメッセージ
本年は、当社が2022年に発表した2050年自社排出量ネットゼロ目標の実現への道筋を示す長期戦略と中期経営計画(INPEX Vision @2022)の最終年度となります。この中で、排出原単位を2022年からの3年間で10%(4.1kg-CO2e/boe)以上低減することを掲げており、2023年は順調に進捗させることができました。引き続き目標達成に向けて取り組んでまいります。また、2023年にはメタン排出量削減を目指す国際的なフレームワークであるOGMP2.02に加盟しました。これにより、加盟企業間での技術革新や取組み事例の共有しつつ、産業界全体で温室効果ガス排出量の低減に向けた活動を推進していきます。
2025年初頭には2050年自社排出量ネットゼロに向けたロードマップを含む新たなビジョンと次の中期経営計画を公表する予定であり、この中で以下の取組みを含む中長期的な気候変動対応方針についても皆様にお示しいていきたいと考えております。
まずは、エネルギーの低炭素化に向けた取組みの強化とそのソリューションの提供です。INPEX Vision @2022においても、2050年ネットゼロカーボン社会に向けた基本方針として「エネルギートランジション のパイオニアとして、石油・天然ガスから水素、再生可能エネルギー電力まで多様でクリーンなエネルギーを安定供給すること」を定めています。具体的な活動として、既存エネルギーのクリーン化に向けたCCS/CCUS事業の推進、次世代クリーンエネルギー供給に向けた国内におけるブルー水素・アンモニア製造・利用一貫実証試験向け地上プラント設備の建設とそれに続く商業化事業への展開、オーストラリアでの再生可能エネルギー事業参画等、国内外でエネルギーの低炭素化に向けた取組みを推進しています。
二点目は、エネルギーのトリレンマ問題への対応です。いま、エネルギー業界は、「エネルギーの安全保障・安定供給の確保」、「安価でクリーンなエネルギーへの公平なアクセス」、「持続可能な地球環境の実現」という3つの課題に直面しています。これらはときに相反するものであり、これらを同時にかつ現実的な形で進めていくことは困難を伴いますが、当社は、これまでもネットゼロカーボン社会の実現とエネルギー需要への適切な対応という社会的要請について対応すべく事業に取り組んでまいりました。今後もエネルギー開発企業として、引き続き徹底的なクリーン化を進めたうえでの既存エネルギーの安定供給と、エネルギーの低炭素化への取組みの加速を推進していきます。
これらの取組みについて、ステークホルダーの皆様に向けた情報開示を充実させるよう努めてまいります。
2 The Oil & Gas Methane Partnership 2.0:国連環境計画(United Nations Environment Programme/UNEP)によって設立された国際的なメタン排出報告フレームワーク
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