地域住民からの意見への対応
当社は、前述の基本的な考え方に基づき、寄せられた地域住民からの意見について記録管理を行い、適切な対応を心掛けています。
主要な拠点である、日本、インドネシア、オーストラリア、アブダビにおいては電話やEメール、手紙、事業所担当者への直接の対話などさまざまな手段を通じて意見を受け付けています。インドネシアでは事務所のあるジャカルタに加えプロジェクト立地地域にも従業員が常駐し対応を行っています。また、アブダビにおいては地域住民からの苦情を含む問い合わせに適切に対応するため、苦情受付窓口(電話・メール)を記載したプロジェクトブローシャーの配布、また、地域の行政機関を通じたショートメッセージの配信も行う事で、より広く周知を行っております。
寄せられた意見は関係者内で共有し、意見の傾向のモニタリングを実施するとともに、新たな懸念事項を早めに特定し、リスクを未然に低減できるように努めています。また、地域住民からの苦情や申し入れについては、それぞれの現地語で対応し、所定の対応手順に従い、ステークホルダーと協力して事実確認を行い、適切に対応しています。
なお、2023年には、いずれの拠点においても、同手順が適用される苦情の受け付けはありませんでした。
地域住民から寄せられた意見と対応
当社がオペレーターとして事業を行う拠点において、2023年度に受け付けた、社外ステークホルダー対応手順に従った地域住民からの問い合わせや意見の内容の内訳は、円グラフのとおりです。
苦情処理の管理
INPEXは、タイムリーかつ統合された、一貫性のある迅速なコミュニケーションという原則に基づき、地域社会及びステークホルダーに対する対話活動を行っています。これらの原則は、ステークホルダーの問題に関するフィードバックや苦情管理、エスカレーションにも一貫して適用されます。
当社の事業活動によって外部のステークホルダーから苦情が生じる可能性があることを認識しており、外部からの苦情を特定、調査、解決するための明確なプロセスを定めています。
ケーススタディ:工事前の事前説明と同意(FPIC)
日本国内でパイプラインを敷設する際には、自治体やルート沿線住民・企業に理解を得られるよう、事前説明・回覧版による工事周知や工事現場見学会を行っています。
パイプラインルートは原則公道などの公共用地下を選定しているため、基本的には住民の移転は発生しません。
例外的にシールド・推進工事の場合は、ルート沿線に各工事規模に応じた工事用地を必要最小限の面積で借地するべく土地所有者と交渉をおこない、工事期間に応じた借地料を支払っています。また、農地(田・畑)を借地する場合は作付け状況を勘案して期間に応じた収穫補償料も支払っています。工事計画書に基づき土地所有者への事前説明、事前立会をおこない、工事終了後は速やかに原形復旧をおこない土地所有者の承諾を得て、工事用地の返地をおこなっています。
ケーススタディ:苦情事例と対応策
苦情事例としては、当社長岡鉱場での夜間の騒音について苦情がよせられました。この件について当該者に事情をヒアリングした結果、防音対策が不十分であったことから、追加での防音対策を速やかに行いました。
また秋田鉱場では基地内の鉄柵が壊れかかっており、通行者に危険が及ぶ可能性があるとの通報を受け、ただちに修復を行いました。
ケーススタディ:オーストラリアでのステークホルダー調査
2022年に西オーストラリア州で同様の調査を実施したのに続き、2023年にはノーザンテリトリーを対象として包括的なステークホルダー調査を実施しました。この調査は特に、オーストラリアの主要な地域社会であるダーウィンに焦点を当て行われ同テリトリーへのINPEXの経済的・社会的貢献に対する認知度を測定しました。
委託コンサルタント会社が12週間にわたり、政府、主要業界団体、地元企業、地域社会のステークホルダーに対して39件の対面調査を行いました。
また、この調査では、オンライン調査で一般市民から184件、ビジネス交流イベントで個々の企業から26件の回答を得ました。
この調査の結果、全体的に当社に対する肯定的な感情が浮き彫りになりました。
- 回答者の56%が「INPEXは信頼できる組織である」という問いに対し同意または強く同意
- 全回答者の60%が「INPEXが地域社会に価値を創造している」という問いに対し同意または強く同意
- 全回答者の60%が「INPEXが地域社会で強い存在感を示している」という問いに対し同意または強く同意
- 回答者の69%が「INPEXがノーザンテリトリーの経済に貢献している」という問いに対し同意
一般市民を対象としたオンライン調査では、地域社会の回答者の66%が知人にINPEXの従業員や受託業者がいると回答し、これらの人々は価値観に基づく質問に、より好意的な回答をする傾向があることがわかりました。
全体的な調査結果としては、INPEXの社会投資プログラム、ララキアの人々との関係性、ダーウィンの地域社会への貢献度は、エネルギー業界全体のベンチマークとなりえるレベルであるとみなされることがわかりました。
また、この調査により、CCSや、地域社会でのナレッジの共有といった分野は、将来的にINPEXの認知度を高める機会として特定されました。