Sustainability Report 2023

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Sustainability Report 2023

サプライチェーンマネジメント

基本的な考え方

世界約20か国でプロジェクトを展開する当社にとって、公正かつ公平な調達、及び、資機材・役務を提供するサプライヤーの管理は重要な課題の一つと認識しています。当社では、公正かつ公平な競争を阻害する行為の禁止、優越的地位濫用の禁止、サプライヤーの情報や技術の機密保持、不適切な利益授受の禁止などを「調達倫理指針-細則」に明記し、調達業務の基本方針のみならず、当社の役員及び従業員が、経営理念やサステナビリティ憲章、及び業務を遂行する上での遵守事項をまとめた「行動規範」の下、社内の調達関連部署で遵守・実行することを規定しています。また、2022年度にはサプライヤーに対しても同様に、労働・環境に関する法令遵守や腐敗防止、当社の人権方針の尊重などを含むESGに関する7事項を明文化した「サプライヤー行動規範」を制定し、2023年度には、本行動規範の理解促進のための施策として、「サプライヤー行動規範ガイドライン」を発行しました。加えて、サプライチェーンマネジメントの一貫として、当社国内事業における主要サプライヤー75社を招待して、当社として初のサプライヤーフォーラムを開催いたしました。今後も同フォーラム等を通じてサプライヤーとの関係を強化し、競争力のある調達を実施するとともに、ESG、リスク管理、パフォーマンス評価等、サプライチェーンマネジメントの強化に努めていきます。

調達に関する実績

マネジメント体制

「調達倫理指針-細則」並びに「行動規範」などに基づいた企業倫理・企業行動を徹底するため、管掌部署である、資材・情報システム本部長を構成員に含むコンプライアンス委員会を定期的に開催しています。2023年1月に開催したサステナビリティ推進委員会においては、当社のサプライチェーンマネジメントに対する社外評価と当社の取組みについて審議されました。

また、国内事業では、取引のある約400社を当社事業継続への重要性や調達品の汎用性などの観点で、主要サプライヤーを選定し、サプライチェーン及びCSR上のリスク分析を進めております。

サプライチェーンリスク管理

当社は、グループ全体で、約2,000社のサプライヤーを通じ、年間で約3,000億円に及ぶ調達を行っています。サプライチェーン上のリスクを管理するために、予防、発見、是正において、適切なアクションをとっています。予防的統制として当社では、サプライヤーに対して労働・環境に関する法令遵守、人権方針の尊重、サプライヤー行動規範の遵守などを求め、これらは当社の定型の契約書に遵守事項として盛り込まれています。

前述のサプライヤーフォーラムでも改めて、サプライヤーに当社の方針や規範を理解いただくために「サプライヤー行動規範ガイドライン」の説明を行いました。

サプライヤーの選定においては、国内・国外、経営規模の大小等を問わず、新規取引希望者に対しても参入機会を提供するよう努めており、公正かつ公平な評価に基づき、契約先を決定しています。また、大型工事・サービス等のサプライヤー選定においては、各国の法令順守に加え、当社ABC ポリシー、HSEに関する要求事項、ESG等の観点も評価に取り入れ、公正かつ公平な調達を実施しています。

発見的統制1としては、2018年度より主要サプライヤーに対して、自己評価アンケートを実施し、また、苦情処理メカニズムやHSE及びCSR監査を通じてのモニタリングを実施しています。

また、サプライチェーンにおけるリスク管理の強化に取り組むべく、日本国内の事業では、主要サプライヤーとのHSE連絡会を開催し、「当社HSE重点目標・活動プログラムの説明と周知」、「インシデントやヒヤリハット事例の説明と情報共有」並びに「上記サプライヤーからのHSE情報の紹介・情報共有やHSEに関する意見聴取」などを通じて、サプライヤーの作業実施におけるHSE向上に取り組んでいます。また、オーストラリアにおいても、主要サプライヤーと定期的に連絡会を実施の上、HSE・品質・サービス内容などのパフォーマンスレビューを行うとともに、事業を進める上でのリスクやその緩和策について適時適切に意見交換を行うことで、サプライヤーとのエンゲージメントの機会を設けています。

是正的統制としては、発見的統制を通じて、リスクが高いと評価されたサプライヤーに対して、HSE監査やCSR監査を通じた改善活動や、契約見直しを含むリスクの回避、低減を図っております。

1業務において処理の誤りや、不正などを防止するために整備する措置

サプライヤーアセスメント

2023年度にはサプライチェーン上のサステナビリティに関わるリスクの特定と改善のため、SA8000の監査人資格を一部資材調達部門員も取得し、「主要サプライヤーの自己評価アンケート」及び主要サプライヤーに対するCSR監査を行いました。そこで、リスクとなりやすい人権・労働に関わる設問も追加し、差別、労働安全衛生、長時間労働に関する設問を追加することで、リスク管理の更なる強化を図っています。

また、同年、主要サプライヤー2社にCSR監査を実施し、サプライヤーのCSR管理体制につき、より詳細な評価を行うと共に改善策の議論を行いました。2024年度は、前述のアンケートの結果に応じて、サプライヤーへ書面・実地を組み合わせたCSR監査を実施することも検討しています。上記主要サプライヤーアンケートの実施、CSR監査、及び、改善策の議論を通じてサプライチェーン全体のリスク低減に努めていきます。

当社オーストラリア事業においても、サプライチェーン上の人権リスクの洗い出しを実施してきており、リスクの更なる評価、監査プロセス、改善へとつなげるフレームワークの最終化を進めています。

サプライヤー行動規範及びサプライヤー行動規範ガイドライン

サプライチェーン全体でESGに取り組んでいくため、当社がサプライヤーに要請するESGに関する下記7事項を明文化した「サプライヤー行動規範」を2022年7月に制定しました。

項目

概要

人権・労働

児童労働や差別の撤廃、労働者保護など人権に関する原則

公正な企業活動

贈収賄、談合・カルテル、反社勢力との関係の禁止など

環境

事業活動による環境破壊の防止、CO2削減など

機密保持

事業活動を通じて得た個人情報、秘密情報の保護

地域社会との共生

地域社会との共存、共栄の推進

不正予防・発見

従業員に対する啓蒙と報告窓口(ホットライン)の設置

情報開示

ESGに関する情報発信と透明性の確保

本行動規範は、当社ホームページにて公開するとともに、標準契約書の中に含める形式で契約先サプライヤーに遵守を求めています。また、一定の契約期間・契約金額以上の重要取引は、入札時ESG評価を実施し、サプライヤーのスクリーニング及びリスク対応策の検討に活用しています。

2023年6月には、「サプライヤー行動規範」の内容をより理解していただき、遵守いただくために、解説、対応例をまとめた「サプライヤー行動規範ガイドライン」を発行しました。

調達倫理指針- 細則

サプライヤー行動規範

サプライヤー行動規範ガイドライン