Sustainability Report 2023

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Sustainability Report 2023

水資源の管理

水管理や水リスク1への対応は国際的に注目されており、「適正な水管理」を当社の重要課題の一つに位置づけています。

係る状況下、当社は、2022年12月に水管理に関する基本的な考え方とコミットメントを取締役会の決議により制定し、公表しました。

1 水リスク:現在及び将来の事業継続に必要な水の供給、気候変動に伴う異常気象による洪水の発生確率増加などの水関連のリスク

水管理に係る基本的な考え方及びコミットメント

基本的な考え方

当社事業の実施に伴う水資源への影響及び地域社会における持続可能性に配慮し、影響低減及び価値創造の取組みを推進する。

コミットメント

  1. 当社事業における水リスク評価の実施
    • 国際的なリスク評価ツールを活用し、事業における水に関連するリスクを把握する。
    • 水リスクが高いと評価された場合には、ミティゲーション・ヒエラルキーに基づいた追加的な対策を策定・実行する。
  2. 水ストレス2の高い地域における淡水取水の制限
    • 事業における淡水の取水に伴い、地域の水資源への著しい影響が予見される場合、その淡水取水を制限する。
  3. 取水/水使用/排水の適切な管理
    • 事業における水利用状況(取水量・排水量・利用用途)を把握し、3R(Reduce・Reuse・Recycle)の取組みを推進する。
    • 産出水(随伴水)及びその他廃水について、適切な処理、及び排水管理を実施する。
  4. ステークホルダーとの協働
    • ステークホルダーと協働し、地域の水資源の持続可能な利用に取組む。

2 利用可能かつ再生可能な地表水及び地下水に対する水需要量の割合

水リスクの評価及び水ストレスの高い地域の特定

当社は、WRI3が開発した水リスクのマッピングツールである「AQUEDUCT」を用いて、全オペレータープロジェクトが立地する地域の水リスクを毎年確認しています。確認する水リスクには、水資源への依存、事業が及ぼす影響、将来的な水需要や水質の変化、地域の規制や、社外ステークホルダーからの評判などが含まれます。2023年12月末時点で、権益を有する26件の生産中のプロジェクトと一件の開発準備中のプロジェクトのうち、アブダビ、及び開発準備中であるアバディプロジェクトの実施エリアが水ストレスの高い地域となっていますが、アブダビにおいては海水淡水化装置の導入により、淡水の取水は行っていません。また、アバディプロジェクトにおいても、海水淡水化装置の導入により、淡水の取水は行わない計画となっています。

地域の水リスクは様々な影響を受け、時間と共に変化することから、今後も継続して水リスクの確認を行い、高い水リスクが確認される場合には、ミティゲーション・ヒエラルキーに基づき、追加的な対策を計画・実行します。

3 World Resources Institute:世界資源研究所

AQUEDUCTを使用して評価される水リスク問題のリスト

種類

指標の名称

説明

物理リスク(量)

WS

水使用に伴う水ストレス

WD

枯渇リスク

IAV

水供給の年次変動リスク

SEV

水供給の季節変動リスク

GTD

地下水面の低下リスク

RFR

河川の洪水リスク

CFR

沿岸の洪水リスク

DRR

干ばつリスク

物理リスク(質)

UCW

未処理排水の流出リスク

CEP

沿岸水域の富栄養化リスク

規制・評判リスク

UDW

飲料水の確保リスク

USA

衛生リスク

RRI

ESG評価リスク

凡例:国内の2023年リスク評価結果と2030年予測のリスクマップ

効率的な水利用に資する取組み

各オペレータープロジェクトにおける水利用状況の確認と改善を目的とし、2023年度に水バランス調査を実施しました。調査を通じて、各施設・プロセスごとの詳細な水利用状況の把握・分析を行い、水の消費量削減や廃水の質の向上を目指しています。

産出水処理技術の調査研究

2015年度から2017年度にかけて、JOGMEC4の支援の下、千代田化工建設、メタウォーターと共同で、「セラミック膜による随伴水処理技術の小規模実証試験」を秋田鉱場の外旭川プラントにおいて実施しました。このセラミック膜を用いた随伴水処理技術を確立させたことにより、原油生産時の排水による環境負荷をより一層低減できることが期待されます。2018年度からはJOGMECと共同で事後調査研究を開始し、本技術の商業利用に向けた試験運転を実施しています。試験の結果、秋田県の定める河川の放流基準をみたす処理能力が確認されています。

2022年3月末までに累計運転時間23,123時間を達成するとともに、随伴水処理設備の建設並びに運転全期間を通し、約7年半無事故無災害を継続しましたなお、本研究は2023年3月をもって終了しました。

4 Japan Organization for Metals and Energy Security:独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構

水管理に関する教育・訓練

国内の操業現場のスタッフを対象に、水の効率的な利用・適切な管理を実践するための教育・訓練を継続的に実施しています。2022年には、社外講師を招き「鉱山保安法と水濁法」というテーマでセミナーを実施しました。