Sustainability Report 2023

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Sustainability Report 2023

人材育成・開発

人材戦略基本方針に基づき、従業員の中長期的・主体的・自律的な成長を支援しながら、求める人物像に合致する社員の育成、および目指す組織風土の実現に向けた取り組みを行っています。ジョブグレードや役職に応じて必要な知識・スキルを身に着ける研修を行うほか、エネルギー業界の専門知識・ビジネススキルなどを学ぶビジネスナレッジ研修を用意しています。また、グローバルレベルのリーダー人材の育成に向け、国際性を養うグローバルプログラム、リーダーシップを身に着け、マネジメント力を強化するリーダーシップ開発プログラム、多様な人材とともに働き成果を出すためのDE&I研修などを実施しています。さらに、自律的なキャリア形成を支援するための取り組みとして年齢別キャリアワークショップ、従業員の中から選抜して早期登用を図る選抜型プログラムも実施しています。これらの研修プログラムを通じ、社員に必要な業務知識やスキルを付与するだけでなく自らが成長する意識を醸成することで、プログラム参加者のパフォーマンスと成長を支援し、長期的な組織全体の業績と発展に貢献することを目的としています。

なお、2023年に、リーダーシップ開発関連プログラム(次世代リーダー選抜育成を含む)については、延べ564名の従業員が受講しました。

人材開発の考え方(社員向けガイドブックより抜粋)

若年層の人材育成・開発

当社では新卒入社から3年間を若年層育成期間とし、社会人基礎力を身に着け、キャリア・オーナーシップを持って自ら成長し続ける人材を育成するために、様々な施策を実施しています。

2023年度は新入社員を対象として、全職種合同の集合研修を約3週間実施し、社会人として求められるマインドやスキルの習得を促しました。

集合研修終了後は各職種の育成プログラムと並行してパルスサーベイ、外部専門家とのカウンセリング等を定期的に実施し、通年での職場適応と各人の成長を支援しており、入社後3年目まで、各年次で全職種を対象にフォローアップ研修を実施しています。

その他、先輩社員によるサポートを目的としたメンター制度(技術系)、各配属先での業務指導を目的としたOJT制度(事務系及び一部技術系)と、各職種の育成プログラムに合わせた支援制度を実施しています。

また、事務系・技術系ともに、業務実践型研修として国内外の事業所、操業現場への若手社員の派遣を積極的に行い、グローバルレベルで活躍できる人材育成にも注力しています。

なお、技術系若手社員は上記に加え、入社3年目以降スキルマップ制度を通して、入社6年目を目標に、得意とする専門技術を持ち、他分野の技術者とチームで協力して作業を実施できる自立/自律した技術者を中長期的な視点で育成しています。

一人一人のキャリア自律支援

技術系社員向けのマレーシアにおける労働安全教育実習

当社ではキャリア・オーナーシップの醸成を目指して、自己啓発制度やビジネスナレッジ研修(自由選択受講制のe-ラーニング)などを通じ従業員の自発的な学習意欲に応じた研修機会の提供を行っています。また、30歳、40歳、50歳の節目を迎えた従業員に対し内省や経験の棚卸を行うキャリアワークショップを実施しています。

2023年には社内にキャリアサポートデスクを新設し、国家資格を持つキャリアコンサルタントが面談を通じて従業員一人一人に合わせたキャリア指導を行っています。全従業員を対象に「キャリアに関する意識調査」を実施し、社内のキャリア意識の動向を定期的にモニタリングしながらキャリア形成の促進・充実に向けた取組みを行っています。

技術系社員向けのマレーシアにおける労働安全教育実習

次世代リーダーの選抜型育成

次期マネジメントを担うことができる人材を早期に選抜・育成することで将来の経営を担う自律的な変革実行型リーダーの創出を図るため、2021年から一般社員対象の選抜型次世代リーダー人材育成プログラム「Breakthrough Leaders Program(BLP)1」を開始しました。BLPに加えて、2022年からは幹部社員対象のプログラム「Advanced Leaders Program(ALP)2」を開始しています。両プログラムともに従業員の自薦に基づいて選考を行う応募形態を採用することで、自ら動ける次世代リーダーとなり得る人材を選抜しています。2023年度はBLPが開始3年目を迎え、全マネージャー新規登用者51名中5名がBLPプログラム参加者より選任されました。

また、オーストラリアでも2022年よりリーダーの能力開発プログラムを開始しており、チームリードやマネージャー職が、研修を通じてリーダーに求められる資質と行動をより一層向上させることを目指しています。

1選抜された社員一人一人のこれまでの経験を踏まえて最大5年間の育成プログラムを策定し、戦略的・意図的かつ短期集中的にタフアサインメント(より高度な業務、リード業務、新しい部署での業務など)の経験を積むことで選抜された社員の加速度的な成長を図り、早期マネージャー登用を目指すプログラム

2国内外のマネジメント・ビジネスプログラムに参画し、最先端の情報や時代の潮流を学ぶことを通じて課題設定力を養い、また、他社の社員との交流により自らの基軸を形成し豊かな発想を持つ次期経営層人材を創り出すプログラム

リーダーシップ開発

一般社員向けのリーダーシップ開発プログラムには、個人能力開発計画とグループ能力開発計画が盛り込まれ、自ら成長し業務遂行する意欲を高めています。幹部社員登用後は、新任の幹部社員としてシナリオプランニング・ビジネスプランニングを学ぶ新任幹部社員研修、人事評価やフィードバックについて学ぶ新任マネ-ジャー研修、ビジョンメイキングについて学ぶ新任ジェネラルマネージャー研修などの集合研修を開催しています(各研修対象者の100%が受講)。また、社長以下全マネジメント層に対して360度フィードバックを2023年から実施し、職務行動についての他者のフィードバックを受けて自省を行うことで、行動変容を促しています。

<ケーススタディ>オーストラリアにおけるリーダーシップ育成

2022年から導入しているLeading@INPEXは、オーストラリアの従業員を対象としたリーダーシップ育成プログラムです。

このプログラムは、従業員に権限・説明責任を持たせると共に、価値感を共有することで、強い絆を築き、大局的に考える文化の醸成を目的としています。

このプログラムは以下の要素から構成されています。

  • 期待される6つのコア能力と行動を明示したリーダーシップのフレームワーク
  • 3つのリーダーシップ・モジュール:「Leading Teams(チームを率いる)」、「Leading People(従業員を率いる)」、「Enabling People and Removing Barriers(従業員を力づけ障壁を取り除く)」
  • 360度フィードバック・プログラム:各リーダーの成長に焦点を当て、強みと改善の機会に関する総合的なデータを提供します。このデータは、将来のトレーニングモジュールの内容に影響を与えるだけでなく、各個人の成長のためのフィードバックも提供します。
  • 年2回のリーダーフォーラム:毎回最大100人のリーダーが参加します。外部の基調講演者や最高位のリーダーから学ぶ機会があり、お互いの関係構築の機会にもなっています。
  • さまざまなポジションや部署から構成されるビジネス・アドバイザリー・グループ:プログラムの各要素においてレビューやフィードバックが提供されます。

その他、このプログラムで学ぶキー・モデルやツールを強化するためのデバイスや教材、プログラム参加者用のイントラネットを提供しています。 


これまで、426人の対象者から390人以上の従業員がLeading@INPEXプログラムに参加しました。

さらに、以下2つの新しいリーダーシップ・プログラムを導入しました。

  • Leading Change(変化をリードする)研修プログラム:組織上のリーダーのみならずプロジェクトを率いるあらゆるリーダーを対象とし、マネジメントや、コミュニケーション、また効果的に変革する能力の支援を目的としています。 
  • Emerging Leaders(新たなリーダー)プログラム: 2日間にわたるこの研修は、初めてのリーダーシップの役割に備えるための将来のリーダーを対象として試験的に実施されました。

Leading Changeプログラムには100人以上の従業員が参加し、2024年に正式に運用されるEmerging Leadersプログラムには100人近くが推薦されました。

こうしたあらゆるリーダー・リーダー候補へのリーダーシップスキルの継続的な支援により強力で生産的なチームを構築し、INPEXで働くことに満足感を持つ職場環境を作り出すことができます。また、これにより、個々人のコアスキル、事業の安定性や生産性を最大化することが期待できます。

Leading@INPEXプログラムの成功を評価するため、半年ごとの従業員エンゲージメント調査(Check-in Survey)を実施しています。この調査では、INPEXオーストラリアの事業全体だけでなく部署レベルでエンゲージメント・スコアを算出し、Leading@INPEXプログラムの6つのコア能力に対するフィードバックを提供しています。喜ばしいことに、2022年に初めて実施した調査時から、調査の参加率は30%上昇しており、従業員エンゲージメント・スコアは5ポイント向上しました。また、業界水準よりも低い離職率を維持しています。