Sustainability Report 2023

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Sustainability Report 2023

コーポレートガバナンス

基本的な考え方

当社は、エネルギーの開発・生産・供給を、持続可能な形で実現することを通じて、より豊かな社会づくりに貢献することを経営理念としております。この経営理念のもと、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図るため、株主をはじめとするステークホルダーとの協働により社会的責任を果たすとともに、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うことを目的としてコーポレートガバナンスの充実に取り組みます。

「コーポレートガバナンスに関する基本方針」及び「コーポレートガバナンス報告書」については、こちらをご覧ください。(コーポレートガバナンス | INPEX

マネジメント体制

経営理念に基づき、効率的な企業経営と実効性の高い監督を実現するため、業務に精通した取締役による業務執行を監査役が監査する監査役設置会社の機関設計を採用しています。また、急速に変化する経営環境及び業容の拡大に的確・迅速に対応するため、業務執行体制の更なる強化を目的として執行役員制度を導入し、一層機動的かつ効率的な経営体制の強化を図っております。

当社では、各国政府や国際的なエネルギー企業等との重要な交渉機会が多く、これには当社事業に関する知識・技術並びに国際的な経験を有し、業務に精通した社内出身の取締役・執行役員があたる必要があると考えており、社内出身の取締役は原則として執行役員を兼務することで、取締役会が現下の経営環境・事業環境を把握したうえで最適な業務の執行を決定するとともに、実効的な経営の監督機能を発揮する体制を確保しております。 また、経営の透明性の向上と取締役会の実効的監督機能の強化を図る観点に加え、独立した立場から、自らの知見に基づく助言、経営の監督、利益相反取引の監督を行うとともに、ステークホルダーの意見を取締役会に適切に反映させることで社内出身者とは異なる客観的な視点を経営に活用するため、取締役会全体の3分の1以上を独立社外取締役で構成することとしております。この独立社外取締役には、資源・エネルギー業界や財務・法務その他の分野において、企業経営経験者、学識経験者又はその他の専門家等として、豊富な経験と幅広い見識を有する社外の人材を選任することとしております。

当社取締役会の多様性については、環境分野やサステナビリティ分野における豊富な知識・経験を有する社外取締役を1名選任し、また、女性の社外取締役及び社外監査役をそれぞれ1名選任しており、スキル及びジェンダー面において、着実に進展しています。なお、監査役を含む取締役会構成員における女性役員は2名、その割合は13%となります。このほか、内部昇格による女性執行役員も1名選任しており、当社マネジメント体制全体の多様性も確保しております。

取締役会メンバーの更なる多様性の確保及び適正な取締役会の人数規模・構成については、指名・報酬諮問委員会にて議論を深化させ、その議論の内容を取締役会にフィードバックすることとしております。なお、ここでの多様性とは年齢、ジェンダー、職務経歴、専門分野、多様な文化的な経験と幅広い見識等を含みます。

また、当社の監査役は、全5名中4名が独立社外監査役であり、かつ監査役の独立性と監査の実効性を確保し、監査機能の強化を図るべく、法令に基づき監査役会を設置するとともに監査役の職務を補助するための組織である監査役室に専任の監査役補助者を複数名置き、更に内部監査部門(監査ユニット)や会計監査人との連携を強化するなどの取り組みを行っております。

さらに、当社では、「社外取締役・監査役と代表取締役の会合」、「社外取締役と監査役の会合(会計監査人を含む場合あり)」、「監査役と代表取締役の会合」など、社外取締役、代表取締役、監査役、会計監査人などが出席する各種会合を定期的に開催し、経営上の重要な課題や、内部統制システム構築・運用状況、その他コーポレートガバナンスに係る事項などについて幅広く意見交換しています。

取締役及び取締役会

取締役会は、株主に対する受託者責任を認識した上で、実効的なコーポレートガバナンスの実現により、十分な監督機能を発揮するとともに、経営の公正性・透明性を確保し、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図ることを責務としています。

当社の取締役会は10名で構成され、うち5名は独立社外取締役であります。効率的な議事運営の観点から、業務に最も精通した代表取締役社長が取締役会の議長を務めることとしております。

取締役会は、原則として毎月1回開催するほか、必要に応じて随時開催し、経営戦略や重要な業務執行について審議・決定するとともに取締役の職務の執行を監督しております。

また、グローバルな経営環境の変化への即応性を高めるとともに、経営責任をより明確化するため、取締役の任期について定款において1年としております。

取締役及び取締役会の出席状況と活動状況

本報告書提出日時点における取締役会の構成及び2023年度の取締役会の出席状況は以下のとおりです。

第18回定時株主総会招集ご通知及び株主総会資料P16、66から67

全取締役の取締役会への出席状況(2023年度)

役職

氏名

職掌

取締役会への出席状況

代表取締役社長

上田隆之

100% (16回/16回)

代表取締役 副社長執行役員

川野憲二

再生可能エネルギー事業本部長
戦略プロジェクト室担当、コンプライアンス担当、海外事業統括

100% (16回/16回)

取締役専務執行役員

大川人史

総務本部長兼オセアニア事業本部長

1

取締役専務執行役員

山田大介

財務・経理本部長

100% (16回/16回)

取締役専務執行役員

滝本俊明

経営企画本部長、法務担当、ネットゼロ事業統括

100% (12回/12回) 2

取締役(社外 )

柳井 準

100% (16回/16回)

取締役(社外 )

飯尾紀直

100% (16回/16回)

取締役(社外 )

西村篤子

100% (16回/16回)

取締役(社外 )

西川知雄

100% (16回/16回)

取締役(社外 )

森本英香

100% (16回/16回)

1

2024年3月26日に就任したため、該当事項はありません。

2

2023年3月28日の就任後の状況を記載しております。

(注1) 2023年3月28日に退任した取締役池田隆彦氏は出席対象となる取締役会全4回の全てに出席しております。

(注2) 2024年3月26日に退任した取締役北村俊昭氏、取締役橘高公久氏、取締役佐瀬信治氏は2023年度の取締役会全16回の全てに出席しています。

(注3) 役職・職掌は2023年12月末時点のものを記載

具体的な検討内容

審議件数

個別案件(石油・天然ガス分野)

41

コーポレートガバナンス

23

経営戦略・事業戦略・市場との対話

23

財務・経理

17

HSE

10

個別案件(ネットゼロ5分野)

10

株主総会

8

コンプライアンス

7

サステナビリティ

5

合計

144

各種諮問委員会

当社では、取締役会の諮問機関として、①取締役の指名、報酬に係る取締役会の機能の独立性・客観性と説明責任を強化し、コーポレートガバナンス体制のより一層の向上に資することを目的として、委員の過半数を、独立社外取締役を含む社外役員で構成し、委員長を社外取締役とする「指名・報酬諮問委員会」を、また、②経営に関連する国内外の政治経済、エネルギー情勢、サステナビリティなどの諸課題について国内外の有識者から多面的かつ客観的な助言・提言を得、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指すことを目的として「経営諮問委員会」を、それぞれ設置しています。

本レポート開示時点における指名・報酬諮問委員会の構成及び2023年度における指名・報酬諮問委員会の出席状況は以下のとおりです。

 

氏名

出席状況

委員長

柳 井 準 (独立社外取締役)

100% (6回/6 回)

委員

上 田 隆 之 (代表取締役社長)

100% (6回/6 回)

委員

飯 尾 紀 直 (独立社外取締役)

100% (6回/6 回)

委員

西 村 篤 子 (独立社外取締役)

100% (6回/6 回)

(注) 2024年3月26日に退任した代表取締役北村俊昭氏は出席対象となる指名・報酬諮問委員会6回の全てに出席しております。

<具体的な検討内容>

(指名)

  • 中期経営計画の進捗、主な経営課題の現状、及び実行組織の再編
  • 2024年12月期 新執行役員体制
  • 社内・社外取締役に求める要件(再定義)
  • 取締役及び代表取締役候補者
  • 取締役及び監査役のスキルマトリックス
  • 取締役・監査役任期、社内取締役退任後の処遇、等

(報酬)

  • 報酬水準の妥当性検証(ピアグループとの比較)
  • 2023年12月期 会社業績、経営指標の実績、各部門業績
  • 業績連動報酬(賞与・株式報酬)KPIの実績
  • 2023年12月期 取締役賞与・株式報酬支給案

(指名・報酬)

  • 年間協議スケジュール
  • 指名・報酬諮問委員会規程の改定、諮問委員及び委員長の改選
  • 取締役会実効性評価を踏まえたアクションプラン

本レポート開示時点における経営諮問委員会の構成及び2023年度における経営諮問委員会の出席状況は以下のとおりです。

 

氏名

出席状況

委員

小 山 堅
(一般財団法人 日本エネルギー経済研究所 専務理事・首席研究員)

100% (2回/2回)

委員

竹 内 純 子
(NPO法人 国際環境経済研究所 理事・主席研究員)

100% (2回/2回)

委員

安 田 隆 二
(一橋ビジネススクール 国際企業戦略専攻 特任教授)

100% (2回/2回)

(注):2023年6月末日に退任したケント カルダー氏(社外有識者)、山内昌之氏(社外有識者)は出席対象となる経営諮問委員会1回の全てに出席しております。

<具体的な検討内容>

  • 2050年ネットカーボンゼロ世界にどう対処するか
  • GX実現に向けた基本方針の評価と課題―カーボンプライシングを中心にー
  • 国際エネルギー情勢の展望と課題 ― 日本エネルギー経済研究所(IEEJ)アウトルック2024の論点を中心に
  • GX実行会議の背景と概要及び国際動向

その他の業務執行に係る委員会

なお、業務執行に係る各種委員会として「コンプライアンス委員会」、「サステナビリティ推進委員会」、「コーポレートHSE委員会」、「情報セキュリティ委員会」及び「IVAS審査会」をそれぞれ設置しています。2023年度における各委員会の概要及び活動状況は以下のとおりです。

  1. コンプライアンス委員会
    グループ全体として一貫したコンプライアンスの取組みを推進することを目的として、2006年4月にコンプライアンス委員会を設置しております。本委員会はコンプライアンス担当役員を委員長とし、常設組織の本部長・担当役員から構成され、コンプライアンスに関わるグループの基本方針や重要事項を審議し、コンプライアンス実践状況を管理しております。2023年度は4回開催しました。詳細については、「コンプライアンス-マネジメント体制」に記載しています。

  2. サステナビリティ推進委員会
    当社グループの社会的責任を果たし、社会の持続可能な発展に貢献する取組みを推進することを目的として2012年4月にサステナビリティ推進委員会を設置しました(設置当初はCSR委員会でしたが、2021年11月に、同委員会をサステナビリティ推進委員会に改称しております)。本委員会は代表取締役社長を委員長とし、代表取締役、総務本部長、経営企画本部長、コンプライアンス委員会委員長、コーポレートHSE委員会委員長から構成され、コーポレートガバナンスや気候変動対応を含め、サステナビリティに関する基本方針、同推進に関する重要事項等を審議します。2023年度は3回開催しました。

  3. コーポレートHSE委員会
    当社が定めたHSEマネジメントシステム規則に従い、労働安全衛生及び環境への取り組みを推進することを目的として、2008年9月17日に設置しました。本委員会はHSE担当役員を委員長とし、委員は常設組織の本部長・当社役員で構成され、HSEに関わる方針や重要事項を審議します。2023年度は10回開催しました。

  4. 情報セキュリティ委員会
    情報セキュリティの維持・管理及び強化に必要な各種施策の検討及び決定を行うことを目的とし、2007年11月より設置しております。本委員会は情報システム担当役員を委員長とし、情報セキュリティに関わる基本方針や重要事項を審議し、情報セキュリティに関する事故が発生した場合の対応及び再発防止策等も管理しております。2023年度は2回開催しました。

  5. INPEX Value Assurance System(IVAS)審査会
    当社が参画する主要なプロジェクトの重要な節目において、その準備状況を確認し、プロジェクトの価値向上及び推進に関する当社の意思決定に資することを目的に2014年5月に設置しました。本審査会は技術本部長を審査会長として、新規プロジェクトの取得、既存プロジェクトについても、探鉱、評価、開発等の各フェーズにおける技術的な評価等を組織横断的に行っています。2023年度は28回開催しました。

コーポレートガバナンス体制図

2023年度 取締役会全体の実効性評価結果

当社は、取締役会全体が適切に機能しているかを定期的に検証し、課題の抽出と改善の取組みを継続していくことを目的として、取締役会全体の実効性の評価を毎年実施し、その結果の概要を開示することとしております。この方針に基づき、第9回目となる2023年度の評価を実施いたしました。評価方法及び結果の概要は以下のとおりです。

【評価方法】

2023年9月開催の社外取締役と監査役の会合において、前回の実効性評価より抽出されたアクションプランへの取り組み状況について中間振り返りを行うと共に、第三者評価機関の関与の仕方を含む2023年度の実効性評価の実施方法について議論を行いました。

その結果、外部の大手法律事務所を起用して、アンケート内容・構成、取締役会事務局の集計・分析手法及び改善案の妥当性の確認を行うこととしました。その後、11月開催の取締役会において、2023年度の実施方針、第三者評価機関からのレビューを受けた事務局作成のアンケート内容・構成など、2023年度の評価項目について審議を行いました。

同審議の内容を踏まえ、評価項目については以下のとおりとしたうえで、全ての取締役及び監査役に対して完全無記名のアンケート調査(WEB形式)を実施し、事務局にてアンケート回答結果の集計及び分析を行い、その集計・分析手法及びアクションプラン案の妥当性に関して第三者評価機関による確認・指摘を受けた上で、2024年1月の社外取締役・監査役と代表取締役との会合において、集計・分析結果及び今後の課題と取組みについて議論を行い、2月の取締役会において、評価結果を確認しました。

【評価項目】

2023年度のアンケート項目は以下のとおりです。設問ごとに概ね4段階で評価する方式としており、具体的な意見の吸い上げのために、多くの質問に自由記述欄を設けました。

第1章【自己評価】

第2章【取締役会の構成】

第3章【取締役会の運営】

第4章【取締役会への支援体制】

第5章【取締役会の役割・責務】

第6章【指名・報酬諮問委員会】

第7章【前回策定したアクションプランへの取組み】

第8章【自由記述】

【前年度の実効性評価結果を踏まえた2023年度の取組み】

2022年度の取締役会実効性評価の結果を踏まえた2023年度の取組み状況は以下のとおりです。

  1. 経営戦略の議論の充実
    • INPEX Vision@2022の進捗について定期的に取締役会で報告を実施。
    • 計画達成に特に大きく影響を及ぼす案件について、個別に審議事項を設定し、複数回の議論を実施。
  2. 取締役会における議論の更なる活性化
    • 経営会議やそれ以前の社内における議論の論点紹介を充実。
    • 新規案件の決議に至る過程において、その背景事情を明らかにするとともに、必要に応じ複数回の審議を実施。
    • 中東地域情勢等のタイムリーなテーマについて、社外専門家等による講演会・取締役会との意見交換会を実施。役員懇親会等の交流機会の確保や社外役員向けの国内外主要操業現場の見学会を開催。
    • 資料の事前提供や事前説明会を継続した上で、集中審議案件の提示など新たな取組みを進め、限られた時間の中でもメリハリの効いた運営を継続。
  3. 取締役会の在り方に係る議論の深化
    • 取締役会メンバーの更なる多様性の確保及び適正な取締役会の人数規模・構成について、指名・報酬諮問委員会にて議論を深化させ、その議論の内容を取締役会にフィードバック。
  4. ポートフォリオマネジメントの継続的な強化
    • ネットゼロ5分野における各事業の状況を踏まえた資金配分等の考え方について議論を実施。
    • コアエリア別のNPV(正味現在価値)やリスク等の情報を整理し、継続的に取締役会に報告等を実施。

【2023年度の評価結果の概要】

社外取締役・監査役と代表取締役の会合、経営会議及び取締役会での審議の結果、2023年度の取締役会の実効性については以下の評価結果が確認されました。

  • 取締役会の構成について、メンバーの知見・経験は十分な多様性を備えており、取締役会の人数規模や社外取締役の割合についても概ね現状において問題はないものの、今後は、更なる多様性確保も含め、取締役会の在り方に係る議論を深化させるべき。
  • 事前説明会の開催や経営会議等での議論の共有及び専門用語の解説・注釈等の、取締役会の議論活性化に向けた取組みはいずれも有効であり、継続するべき。
  • 非常勤役員の知見・理解向上に向けた機会提供については、社外専門家による講演会や、国内外操業現場等の見学によって十分確保されており、各取組みを継続するべき。
  • 指名・報酬諮問委員会については、指名・報酬両分野における審議等において必要な役割を果たしている。今後は、指名・報酬諮問委員会の独立性の更なる強化を図るとともに、取締役会との連携強化の取組みも継続・深化させるべき。

上記を含む個別の評価結果を総括した結果、2023年度の取締役会全体の実効性は、全体として前年度に引き続き十分に確保されていると評価されました。

【更なる実効性向上に向けた取組み】

取締役会の更なる実効性の確保に向け、今後の取り組みとして、以下のアクションプランが設定されました。

  1. 経営戦略の議論の充実
    • 次期中期経営計画の策定に向けた「審議事項」を複数回設定し、十分な議論の機会・時間を確保する。
  2. 取締役会の議論の活性化
    • 資料・事前説明等において、経営会議やその前段階の議論における論点・指摘の紹介、専門用語の解説・注釈の徹底等を充実させ、取締役会への上程プロセスを一層明確化する。
    • 取締役会メンバー以外も含めた適切な交流・意見交換の機会を設ける。また、必要に応じ国内外の現場見学を実施する。
    • 企業経営、サステナビリティ分野、主要事業国における環境政策・規制の動向、技術動向等についての取締役会メンバーの更なる知見向上への取組みとして、社外専門家等による講演会等の手法を検討し、実施する。
    • 集中審議案件の提示等によるメリハリの効いた運営を継続し、重要事項に対する審議の質をより一層高める。
  3. 指名・報酬諮問委員会の機能強化
    • 代表取締役社長のサクセッションプランについて、今後の指名・報酬諮問委員会での議論を深化させ、その結果を取締役会に報告する。
    • 委員会の独立性強化のため、指名・報酬諮問委員会の委員長については社外取締役とする。
    • 指名・報酬諮問委員会での審議内容について、委員長他からの取締役会報告の更なる充実化を図る。
  4. 取締役会の在り方に係る議論の深化
    • 取締役会メンバーの更なる多様性の確保(女性の増員、異業種経営経験者、外国人の参加等)、適正な取締役会の人数規模・構成について、引き続き指名・報酬諮問委員会にて議論を深化させる。

なお、第三者評価機関より、事務局による評価結果の集計・分析は適切に行われており、それらによる導き出された上記のアクションプランの設定は妥当であるとの評価を得ております。

当社は、今回の評価結果を踏まえて、引き続き、取締役会の実効性の向上を図ってまいります。

スキルマトリックス

当社の取締役会は、2050年ネットゼロカーボン社会の実現に向けた「長期戦略と中期経営計画(INPEX Vision @2022)」を実行するため、多様且つ豊富な経験や見識を有する取締役及び監査役による構成としております。

取締役及び監査役のスキルマトリックス

 

 

 

分 野

役職

 

企業経営
組織運営

グローバル

財務・会計

法務・
リスクマネジメント

サステナビリティ

技術・DX

エネルギー

営業・販売

人材開発・
ダイバーシティ

取締役

社内

上田 隆之

 

 

 

 

社内

川野 憲二

 

 

 

 

 

社内

大川 人史

 

 

 

 

 

社内

山田 大介

 

 

 

 

 

 

社内

滝本 俊明

 

 

 

 

社外

柳井 準

 

 

 

 

社外

飯尾 紀直

 

 

 

 

 

社外

西村 篤子

 

 

 

 

 

社外

西川 知雄

 

 

 

 

社外

森本 英香

 

 

 

 

 

監査役

社内

川村 明男

 

 

 

 

 

 

社外

刀禰 俊哉

 

 

 

 

 

 

社外

麻生 憲一

 

 

 

 

 

 

社外

秋吉 満

 

 

 

 

社外

木場 弘子

 

 

 

 

 

 

は、特に期待する分野を示したものであり、対象者の有する知識・経験の全てを示すものではありません。

スキルマトリックス各項目の選定理由

スキル項目

選定理由

企業経営・組織運営

エネルギー事業を取り巻く複雑な経営環境下において、当社の経営理念に基づいた中長期的な経営戦略・経営計画を策定・実行し、その実効性を監督するため、経営・組織運営全般に関する幅広い知識・経験が必要。

グローバル

当社が展開するグローバルな事業を的確に遂行し、それらの適切な監督を行うため、地政学、政策等に関する知識・経験が必要。

財務・会計

当社の中期経営計画で掲げる財務指標、効率性指標等の目標達成に向けた戦略の立案・実行及びそれらの適切な監督のため、財務、会計、税務に関する知識・経験が必要。

法務・リスクマネジメント

当社経営・事業に関する国内外の法令等の遵守を含む適切なリスクマネジメントの実行及びその監督を行うため、法務・コンプライアンス・コーポレートガバナンス・リスクマネジメント等に関する知識・経験が必要。

サステナビリティ

サステナビリティ憲章及び環境安全方針に基づき、当社事業やバリューチェーンを通じて各種課題への取組みを推進するとともに、その取組み状況の監督を行うにあたり、HSE(健康・安全・環境)及びサステナビリティ経営に関する知識・経験が必要。

技術・DX

エネルギー安定供給と事業の脱炭素化実現に資する、技術・DXに係る戦略の立案・実行及びそれらの適切な監督のため、E&P事業全般に関する技術的知見や、デジタル・専門技術を活用した多様なエネルギーや脱炭素ソリューションの開発・革新(イノベーション)・進展に関する幅広い知識・経験が必要。

エネルギー

2050年ネットゼロ社会に向けたエネルギー事業戦略の立案・実行及びそれらの適切な監督のため、当社中核事業に限らず、再生可能エネルギー及び水素・アンモニアをはじめとする多様なエネルギーの事業化、開発、生産、操業に関する幅広い知識、経験が必要。

営業・販売

国内外の全ての顧客に対する最適な商品・サービスと付加価値の提供、販売先の拡大に向けた新たな顧客へのマーケティング戦略の立案・実行及びそれらの適切な監督のため、多様なエネルギーの営業、販売に関する知識、経験が必要。

人材開発・ダイバーシティ

グローバル企業として責任ある経営を持続的に推進するためには人材の多様化と価値観を共有できる人材の育成が重要であると考えていることから、人材開発・ダイバーシティに係る戦略の立案・実行及びそれらの適切な監督のため、人事、教育、女性活躍推進等の分野における多様な知識、経験が必要。

取締役の報酬等

報酬の基本方針

当社の取締役の報酬は、以下を基本方針としています。

  1. 当社の経営理念の実現に向けた、優秀な経営人財の確保・維持に資するものであること
  2. 当社の持続的成長と中長期的な企業価値向上への貢献意識を高めるものであること
  3. 株主をはじめとするステークホルダーに対して説明責任を果たせる、透明性・客観性の高い報酬制度であること

当社は、当該基本方針に基づき、当社の取締役の個人別の報酬等の内容に係る決定方針について以下のとおり取締役会において決議しております。なお、取締役の個人別の報酬等の決定にあたり、取締役会の諮問機関として、社外取締役を過半数とする指名・報酬諮問委員会がその原案について、当該決定方針との整合性を含めた多角的な検討を行っていることから、取締役会もその答申を尊重し、決定方針に沿うものと判断しております。

報酬水準

当社の取締役の報酬水準は、外部調査機関のデータを活用し、同規模企業群や類似業種をピアグループとした役位ごとの水準にかかる調査・分析を行った後、指名・報酬諮問委員会において妥当性を検証のうえ、取締役会の決議により設定します。また、外部環境の変化等に応じて、適宜見直しを行うものとします。

取締役の報酬構成

当社の取締役(社外取締役を除く)の報酬構成は、役位ごとの職務内容に応じた「基本報酬」、短期インセンティブ報酬としての「賞与」、中長期インセンティブとしての「株式報酬」から構成され、その内容等は下表のとおりです。なお、社外取締役の報酬は、その職務の独立性の観点から、「基本報酬」のみで構成しています。

 

内容

水準やKPIなど

取締役の基本報酬

  • 各取締役の役位ごとの職務内容に基づき、月例の固定報酬として支給する金銭報酬です。
  • 上記に加え、社外取締役のうち委員を兼任する場合は、月例の固定報酬に加算して支給する金銭報酬です。

外部調査機関のデータを活用し、同規模企業群や類似業種をピアグループとした役位ごとの水準にかかる調査・分析を行い、指名・報酬諮問委員会において妥当性を検討しています。

取締役の賞与
(社外取締役を除く)

  • 単年度の会社業績や担当部門業績を勘案した毎年6月に支給する業績連動型の金銭報酬です。
  • 会社業績指標は、当社の主要な財務指標である親会社株主に帰属する当期純利益(以下「当期利益」)と探鉱投資前営業キャッシュフローに加え、非財務指標として当社の使命であるエネルギーの安定供給を果たす上で不可欠となる安全指標(重大な事故ゼロ)を採用し、これらの目標達成度に応じて下表の評価ウェイトに基づき報酬額を算定し、最終的な報酬額は0~200%の範囲内で変動します。

賞与のKPI

評価ウェイト

財務指標

当期利益

45%

 

探鉱投資前営業キャッシュフロー

45%

非財務指標

安全指標(重大な事故ゼロ)

10%

取締役及び執行役員の業績連動型株式報酬(社外取締役を除く)

  • 当社の中長期的な業績及び企業価値向上への取締役の貢献意識を高めることを目的とした業績連動型の要素と、取締役の自社株保有を通じて株主との利害共有意識を強化することを目的とした固定型の要素を併せた取締役の退任後に支給する株式報酬です。
  • 役位ごとに株式報酬基準額を定め、当該基準額の一部を業績連動(Performance Share)、残りを非業績連動(Non-Financial Performance Share)の株式報酬として構成します。
  • 業績連動部分に係る会社業績指標は、中期経営計画における主要な経営指標である当期利益・探鉱投資前営業キャッシュフロー・ROE・総還元性向に加えて、石油・天然ガス事業の徹底した強靭化とネットゼロ5分野における各事業の推進を目標としたバレル当たり生産コスト・温室効果ガス排出原単位を採用し、これらの目標達成度に応じて、下表の評価ウェイトに基づき報酬額を算定し、最終的な報酬額は0~200%の範囲内で変動します。
  • 非業績連動部分は、株主との利害共有意識を強化する観点から、交付株式数が固定された株式報酬として支給します。
  • 株式報酬は、信託型株式報酬制度を通じて支給します。本制度は、制度対象者に対して、役位や業績などに応じたポイントを毎年付与し、原則として制度対象者の退任後に、累積したポイント数に相当する当社株式を信託から交付するものです。
  • また、株式報酬は、取締役などに重大な不正・違反行為などが発生した場合、当該取締役などに対し、本制度における当社株式などの交付などを受ける権利の喪失または没収(マルス)、交付した当社株式など相当の金銭の返還請求(クローバック)ができるものとします。

株式報酬のKPI

評価ウェイト

財務指標

当期利益

30%

 

探鉱投資前営業キャッシュフロー

30%

 

ROE

10%

 

総還元性向

10%

非財務指標

バレル当たり生産コスト

10%

 

温室効果ガス排出原単位

10%

目標達成度が100%の場合の社長の基本報酬、賞与、株式報酬の比率は概ね50%:30%:20%となるように設定しています。

取締役の報酬決定プロセス

当社は、取締役の報酬の決定に係る取締役会機能の独立性・客観性と説明責任を強化するために、取締役会の諮問機関として、委員の過半数を独立社外取締役で構成する指名・報酬諮問委員会を設置しており、同委員会の答申を受け、取締役会において取締役の報酬の額又はその算定方法に係る決定方針を定めています。

指名・報酬諮問委員会は、原則として年4回以上開催することとし、取締役報酬等の額及び算定方法並びに個人別の報酬等の内容の決定方針に係る主要事項を審議の上、取締役会に対して助言・提言を行っており、取締役会はその助言・提言の内容を最大限に尊重して意思決定を行います。なお、取締役の個人別の報酬支給額(担当部門業績評価を踏まえた賞与の最終支給額等)については、当社の経営状況を最も熟知している代表取締役社長が、取締役会決議により一任を受け、同委員会の助言・提言に基づき決定します。

当社を取り巻く外部環境や社会・経済情勢等に鑑み、業績連動報酬に係る目標値や算定方法等の妥当性について、指名・報酬諮問委員会において慎重に審議を行った上で、取締役会の決議により、各取締役の報酬額算定に調整を加えることがあります。

なお、当社の役員で、これらの連結報酬等の総額が、金融庁「企業内容等の開示に関する内閣府令」の定める開示基準である1億円以上である者が存在しないため、役員ごとの連結報酬等の総額を開示していません。

監査役会

当社は監査役制度を採用し、5名の監査役により監査役会を構成し、うち4名は社外監査役です。これらの社外監査役4名は、当社の事業や財務・会計・法務などの分野に関する豊富な経験と知識を有しており、それらを監査業務に生かしています。また、監査役の職務遂行を補助するため、執行部門から独立した組織である監査役室を設置し、これに必要な適正な知識、能力を有する専任の使用人を4名配置しています。監査役会は、原則として取締役会開催同日に月次で開催されるほか、必要に応じて開催されています。監査役会は、監査計画を含む法定事項などを決議するほか、内部監査部門及び会計監査人からその職務の執行状況について報告を受け、必要に応じて説明を求めています。また、監査役間で、監査活動で把握した課題などにつき情報共有を図るとともに、必要に応じて議論を行っています。

2023年度は合計17回の監査役会を開催し、以下のとおり全監査役が全ての監査役会に出席しています。

役職

氏名

2023年度の監査役会出席率

常勤監査役

川村明男

100% (13回/13回 )

常勤監査役(社外 )

刀禰俊哉

100% (13回/13回 )

常勤監査役(社外 )

麻生憲一

100% (13回/13回 )

監査役(社外 )

秋吉 満

100% (17回/17回 )

監査役(社外 )

木場弘子

100% (17回/17回 )

(注) 川村監査役、刀禰監査役及び麻生監査役は、2023年3月28日開催の第17回定時株主総会にて選任(新任)され、秋吉監査役及び木場監査役は、同定時株主総会において、選任(再任)されました。

取締役・監査役に対するトレーニング

当社は、取締役及び監査役がその役割・責務を適切に果たせるよう、新任者には当社の事業、経営戦略などの重要な事項及び事業に関するリスクについて説明し、また、各取締役及び各監査役には必要なトレーニング(専門家による研修、現場視察など)の機会を提供しています。2023年は、社内取締役に対して1回、社外取締役に対して5回実施され、この内2回は、リスクに関する説明を含んでいます。

また、中東地域情勢などの外部専門家を招聘し、取締役会向けに講演会・意見交換会を定期的に実施するなど、取締役会の連携強化・業務知識の向上に努めています。