Sustainability Report 2023

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Sustainability Report 2023

基本的な考え方

当社は、エネルギーの安定供給とエネルギートランジションへの取組みを両輪で推進し、事業やバリューチェーンを通じて気候変動をはじめとしたサステナビリティの課題に取り組むことを、サステナビリティ経営の基本的な考え方としています。この考え方のもと、当社のステークホルダー及び当社事業の双方にとって重要度の高いサステナビリティに関する6つの重点テーマ(ガバナンス、コンプライアンス、気候変動対応、HSE、地域社会、人的資本)を中心にサステナビリティ経営を実践しています。

サステナビリティ推進体制

当社は、サステナビリティに関する経営トップの考えを明確に発信し、サステナビリティに関する基本方針を審議し、全社的・体系的なサステナビリティ活動を推進する目的で、代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ推進委員会を設置しています。委員として代表取締役、総務本部長、経営企画本部長(同委員会副委員長)及びコンプライアンス委員会及びコーポレートHSE委員会の両委員長が出席し、両委員会との連携を図っています。2023年は3回開催され、審議された事項は、経営会議及び取締役会にて議論されました。

また、サステナビリティ推進委員会の下部組織として、各本部の実務者レベルで構成するサステナビリティ推進ワーキンググループ並びに気候変動対応推進ワーキンググループを設置し、全社横断的な協議推進体制を整備しています。

サステナビリティ推進体制

1INPEX Value Assurance System:プロジェクトの価値向上及び推進に関する当社の意思決定に資することを目的とした審査会

サステナビリティに関する重点テーマ

当社はISO26000の7つの中核主題の中から当社にとっての重要度が高く、ステークホルダーにとっても重要度の高い6つのテーマをサステナビリティに関する重点テーマとして特定しています。当社の重点テーマは、ダブルマテリアリティの原則に沿って、当社のサステナビリティだけでなく、外部のステークホルダーや環境などに大きな影響を与える可能性のある課題を特定した上で、優先順位をつけて特定されています。

サステナビリティに関する6つの重点テーマ

さらに、テーマごとに当社が優先的に行うべきアクションを「重要課題」と特定し、当社のPDCAサイクルに組み込み、継続的に改善がなされるようになっています。また、2017年には従来の重要課題に持続可能な開発目標(SDGs2)の観点を取り込み、4つのステップから成る重要課題特定プロセス((1)課題抽出・整理、(2)ステークホルダー・ダイアログ、(3)課題の優先順位付け、(4)マネジメントレビュー)を通じたマッピングを実施し、重要課題の見直しを行いました。

2022年3月には、同年2月に発表した「長期戦略と中期経営計画:INPEX Vision @2022」に合わせて実施された、主要なステークホルダーとの対話を基に見直しを行っています。重点テーマと重要課題については、社内外のステークホルダーとの対話を通じて年に1回見直されます。その結果は代表取締役社長が委員長を務めるサステナビリティ推進委員会にて承認され、取締役会に報告されています。

2SDGs:2015年9月の「国連持続可能な開発サミット」で、人間、地球及び繁栄のための行動計画として掲げられた17の目標と169のターゲット

INPEXの重要課題

  • ガバナンス体制の強化
  • リスクマネジメント体制の強化
  • 人権の尊重
  • 法令遵守及び贈収賄・汚職防止
  • サプライチェーンリスク管理
  • 重大災害防止
  • 労働安全衛生の確保
  • 生物多様性保全・水リスク管理
  • 地域社会・先住民に対する影響評価、低減策の実施
  • 地域経済への貢献
  • 気候変動対応目標達成の推進とTCFD 提言に沿った情報開示
  • ネットゼロ5分野の推進
    • 水素・アンモニア
    • CCUS
    • 再生可能エネルギー
    • カーボンリサイクル・新分野
    • 森林保全
  • 石油・天然ガス分野のクリーン化とガスシフト
  • 最高に働きがいのある会社の実現

業界団体への参加

当社は、事業及びサステナビリティの目標達成に向け、IOGP(国際石油・ガス生産者協会)Australian Energy ProducersIpieca(石油・天然ガス業界における環境や社会課題に関する国際的団体)に加盟しています。これらの団体に参加することで、当社のビジネスプラクティスやガバナンス、安全、環境、経済、社会的パフォーマンスにおける継続的な向上を目指しています。これらの団体は、当社の気候変動に関するコーポレート・ポジションと一致し、パリ協定の目的に沿ったエネルギー転換を支援する立場にあります。また、日本国内では、エネルギーの安定供給や、業界の健全な発展を図るべく、エネルギー資源開発連盟天然ガス鉱業会日本ガス協会に加盟しています。これらの団体への加盟は、エネルギー業界にとって重要な事項に関する集約的な意見を提供することなどにより、政府や行政当局との健全かつ適切な関係構築するための当社の取組みを支えるものです。その他、産油・ガス国の透明性を高めるイニシアティブであるEITI(Extractive Industries Transparency Initiative)、一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)が主導する「チャレンジ・ゼロ」(チャレンジ ネット・ゼロカーボン イノベーション) に参加、新エネルギー財団、水素バリューチェーン協議会、CCUS+イニシアティブに加盟しています。

当社が参加する業界団体の一例は以下の通りです。

国連グローバル・コンパクト

当社は、2011年より国連グローバル・コンパクトに署名をしており、国連グローバル・コンパクトが提唱する人権・労働・環境・腐敗防止に関する10原則への支持を表明しています。2012年より、国連グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンに設置されているサステナビリティに関するさまざまな分科会の活動に継続的に参加をしています。

IOGP(国際石油・ガス生産者協会)

IOGPは、世界中の主要な石油・ガス会社と関連団体を代表する国際的な業界団体です。その主な目的は、石油・ガスの生産活動の持続可能性や安全性の向上を促進することです。また、IOGPは業界のベストプラクティスの策定や技術の共有、環境保護や労働安全などの重要な問題への対応など、幅広い活動を行っており、当社も業界基準との比較に際しIOGPをベンチマークとして安全衛生のモニタリングを行っております。

Australian Energy Producers(旧名:Australian Petroleum Production and Exploration Association)

Australian Energy Producersは、オーストラリアのエネルギー業界団体であり、パリ協定に関連する政策や規制策定に関与し、石油、ガス、LNGセクターが温室効果ガスの排出削減とクリーンエネルギーへの移行を進めることを支持しています。

Ipieca

Ipiecaは、石油・天然ガス業界の企業、団体、及び関係者を代表する国際業界団体です。環境保護、気候変動、生物多様性、水管理など、さまざまな環境問題に関するガイダンスやリソースを提供しています。また、持続可能な開発目標(SDGs)の達成や国際的な環境枠組みにおいて、石油・天然ガス業界の役割を促進するための連携活動も行っており、好事例やガイドラインの参照等を行っております。

GXリーグ基本構想

GXとは「グリーントランスフォーメーション」の略。2050年カーボンニュートラルや、2030年の国としての温室効果ガス排出削減目標の達成に向けた取組みを経済の成長の機会と捉え、排出削減と産業競争力の向上の実現に向けた、経済社会システム全体の変革がGXです。当社は23年4月から経済産業省が事務局を務めるGXリーグに参画しています。参画企業には、国内の直接・間接排出のそれぞれについて目標を定め、削減に挑戦し、その取組みを公表することが求められます。当社も気候変動に対するトランジション戦略及びVisionを開示しております。

EITI(採取産業透明性イニシアティブ)

EITIは、資源採掘業界の透明性と説明責任を向上させるために設立された国際的なイニシアティブです。EITIは、政府、企業、市民社会団体、及び国際機関のパートナーシップによって運営されています。ESGデータでは、当社の国別の納付金額が開示されております。

一般社団法人日本経済団体連合会

INPEXは、一般社団法人日本経済団体連合会の会員企業として、その「企業行動憲章」の精神を尊重し、実践しています。また、「チャレンジ・ゼロ」にも参加し、取組みの事例として当社の「メタネーション技術」「人工光合成技術」が紹介されております。チャレンジ・ゼロとは経団連が日本政府と連携し、気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」が長期的なゴールと位置づける「脱炭素社会」の実現に向け、企業・団体がチャレンジするイノベーションのアクションを、国内外に力強く発信し、後押ししていく新たなイニシアティブです。

水素バリューチェーン協議会

政府との連携や国内外のパートナーシップの構築、政策提言、市場創出の支援など、水素産業の成長と発展を支援する活動を行っています。また、国内外の最新の技術動向や市場動向についての情報共有も行い、水素社会の実現に向けた国内外の連携を促進しています。

CCSプラス・イニシアティブ

世界で最も広く利用されている温室効果ガスクレジット・プログラムであるVerraのVerified Carbon Standard(VCS)の下で、CCUSのクレジット化を目的とするイニシアティブに参画しております。CCUSの分野における最新の技術動向や市場動向についての情報共有を行い、CCS普及拡大を積極的に支援し、カーボンニュートラル社会の実現に貢献していきます。

The Oil & Gas Methane Partnership 2.0 (OGMP 2.0)

石油・天然ガス企業を対象とするメタン排出削減に関する報告フレームワークであるThe Oil & Gas Methane Partnership 2.0 (以下、OGMP2.0)に加盟しました。OGMP 2.0は、国際連合環境計画によって設立された国際的な報告フレームワークであり、加盟企業に対し、メタン排出削減を促す包括的かつ測定に基づく報告枠組を提供するものです。当社は、OGMP2.0が提供する報告枠組みに従ってメタン排出削減の報告を行うことで、自社のメタン排出報告量の正確性と透明性を確保するとともに、メタン排出量の測定・削減に向けた加盟企業間での技術革新や取組み事例の共有など積極的に行っていきます。